所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

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現在、日本国内で所有者不明の土地が急増しています。

理由は個別ケースで色々ですが、全体としては相続が主な要因と考えられます。

現状では相続登記は義務でないため、登記がなされない場合は一つの土地に関して相続が起きるたびに所有権利者(相続人)が雪だるま式に増え、追跡が困難になります。

これによって多くの不都合が生じてきたため、対策として作られたのが「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(以下、「所有者土地不明法」)」です。

かなり複雑な中身になっていますが、本章では要点を捉えて、土地の所有者からみてどのような影響があるのか概要を見ていきます。

■本法の性質を捉える

本法は全体的な性質を先に捉えると理解が早まります。

この法律は、国民の利便性を考えたものというよりも、国や自治体など行政側の都合や利便性を向上させるために作られた法律です。

逆に言えば国民にとって不都合が生じる可能性があるということで、土地の所有者はこれを認識するべきでしょう。

公共事業のために土地を利用したい場合に、その土地の所有者が不明だと交渉が進まず行政上の目的が実現できません。

そこで、交渉相手となる土地の所有者が分からなくても、国や自治体が一定の手続きを踏むことで、所有者の許諾なく利用できるようにするのが大きな目的です。

では土地の所有者側から見た場合に、具体的にどのような影響が出るのか見てみましょう。

 

■土地所有者への具体的な影響

①勝手に土地を利用されることがある

土地所有者が不明で公共用地取得が進められなくても、一定の手続きを踏むことで自治体が行政上の目的のために使用することができるようになります。

利用にかかる年数の上限は10年となっていますが、その間に所有者が現れて明け渡しを求めた場合、期間終了後まで返還を受けることはできません。

期間終了後は原状回復後に返還を受けるか、双方合意の下で土地の使用を延長することができます。

②個人情報を利用されることがある

土地の所有者を捜索するために、自治体は住民票や戸籍、登記簿などを本人の同意なく調査することができます。

また地域の福利増進事業など公共目的で土地を使用したいと考える者に対して、自治体は土地所有者の関連情報を提供することができます。

ただし民間事業者への情報提供については、本人の同意が必要とされています。

また長期間相続登記がされていない土地については、法務局の登記官が長期間相続登記されていない土地である旨を登記簿に記録することができ、相続人が判明した場合は登記を促す通知が発送されることがあります。

③財産管理人を選任されることがある

所有者不明土地について、適切に管理がされておらず不都合が生じている場合、自治体が財産管理人の選任を裁判所に申し立てることができます。

これまでは利害関係者や検察官だけが申し立て権限を有し、自治体は権限がありませんでした。

不法投棄や雑草の放置などで周辺に悪影響が出ている場合、財産管理人を選任することでこれらの問題を除去することが可能になります。

手続きを踏むことで土地の売却も可能になるので、財産管理人の報酬の支払いや問題除去の費用に充てるために土地を売却される可能性があります。

■所有者は相続登記を忘れずに

所有者不明土地法の適用対象となった土地は、自治体が手続きを踏むことで所有者の同意なく利用される可能性があるなど、所有者にとっては不都合が生じることもあります。

私たちにとって最も効率の良い対処法は、相続の際に相続登記をしっかりして所有者を明らかにしておくことです。

その上で、利用しない土地はすみやかに売却する、利用するならば適切に管理をしておくことが大切になります。
 

記事監修者 かながわ行政書士事務所 代表 池田 晴香
かながわ行政書士事務所ホームページ:https://kanagawa-gyosei.com/
WEB制作会社に営業として勤務後、学生時代から就職後も続けていた音楽関係の仕事をきっかけに
ラジオパーソナリティー、ナレーション、朗読などの声の仕事を始める。 30代、行政書士の仕事をスタート。

 

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