固定資産税などの税金は負担になる。空き家の税金を滞納したらどうなるの?
空き家は自分で利活用できない不動産も固定資産税などの税金は納めなければなりません。
本章では空き家の税金を滞納するとどうなるのか解説します。
【目次】
不動産の所有者には固定資産税の納税義務がある
不動産を所有している所有者には固定資産税という税金がかかります。
固定資産税は毎年1月1日の不動産の所有者に課税される税金のことです。
(本文に対する出典: 総務省・固定資産税の概要)
固定資産税は所有者が市町村に対して納める税金であり、一括の支払いまたは1年分を4回に分割することが出来ます。
所有している物件を売却をした場合でも1月1日の所有者が税金の全額を支払う必要がありますので注意が必要です。
その為、売買の取引では売主と買主が決済時(物件の引き渡し時)に所有日数分を精算するのが一般的です。
それでは相続で不動産を取得した場合は固定資産税や税金は誰が納税しなかればならいのでしょうか。
相続不動産にかかる税金の納税義務は相続人にあり
相続した不動産は承継者となった相続人の所有物となるので、以後はその承継者に固定資産税の納税義務が生じます。
例え当該相続人が自分で住まない場合でも、全く利活用しないとしても同じです。
この義務を怠り税金を滞納するとどうなるのか、順を追って見ていきましょう。
滞納するとどうなる?
①延滞金の発生
固定資産税の納税期限をすぎると延滞金が発生します。
送られてくる固定資産税の納付書には期限が記載されており、この期限を超えても納付がされない、延滞してしまう場合には延滞となってしまいます。
一般の借金でも返済日を過ぎると一定の遅延損害金が発生しますが、趣旨や性質は同じです。
延滞金は納税額に一定の税率をかけて算出されますが、怖いのは納税が済むまで永久に延滞金がついて回ることです。
さらに、もし納税義務者が死亡した場合はこの延滞金も相続対象になるので、孫子の代まで呪いのようについて回ることになります。
延滞金は税金を早く納めさせるための強力なプレッシャーの役割も果たします。
また、相続時に固定資産税の滞納があった場合、相続人はその税金に関しても相続の対象となり、納税の必要が出てきます。
②督促・催告通知
納期限から20日ほど経つと(自治体によって期日は若干異なります)、納税を促すために督促状や催告通知の発送がなされます。
この通知が届いた時点では法的な内容は特になく、指示に従い滞納した税金や延滞金を納付出来れば問題はありません。
催告書は内容証明郵便で送付されるため、放置をしていたとしても強制力があるので言い逃れが出来なくなります。
③財産調査
自治体からの通知を無視していると、物件所有者の財産調査が行われます。
税金を強制的に徴収するため、銀行口座や不動産など金銭的価値のある財産がどれだけあるかを調査されます。
④差し押さえ
財産調査後は、自治体が必要な納税額を確保できるように財産の差し押さえを行います。
まずは税金の徴収がしやすい現預金や動産関係が対象になりますが、足りない場合は不動産も差し押さえられます。
その際には問題になっている空き家も差し押さえ対象になります。
⑤公売
現預金以外の換金が必要な財産については換価処分が行われます。
公売といって、裁判所は関与しませんが競売と同じような仕組みで換価処分がなされるので、不動産の場合は市場価値よりも安く換価されてしまうことになります。
なお換価処分をして得られた資金でも納税額に満たない場合は、残った滞納分はなお税金の納税義務が残るので、引き続き滞納状態が続くことになります。
不動産を強制的に安く手放さなければならず、残った債務も引き続き負担しなければならないため、公売や競売は不動産所有者にとっては本当に損ですから、絶対に避ける必要があります。
固定資産税などの税金の納税に関するチェックポイント
相続人が複数いる場合で不動産も複数人の名義となっている場合、納税通知書は全員に届くわけではなありません。
納税通知書が届いた相続人が納税を放置しているとゆくゆく公売となるリスクが発生しますので相続人全員で確認しておくのが良いでしょう。
無理して空き家を所有するにはリスクがある
見てきたように固定資産税などの税金などを滞納してしまうと大きなリスクを伴います。
現時点でマイホームを自身で所有されている場合はそのマイホームにも固定資産税などの税金が課税されてきます。
仮に相続した不動産の評価が高い場合には、現在のマイホームと同等の税金が課税されることもあります。
マイホームを購入する際は金融機関から住宅ローンを借りている方が大半となりますが、長期間で借入をし収入の上限で住宅ローンを組んでいる方も少なくないでしょう。
そこに利用していない空き家の税金を負担するのも厳しくなるのも想定でき、期限も設けられているため期限内に税金を納付しなければなりません。
無理をすれば支払いも出来ることもありますが、転職などをすることでで収入が減ってしまうケースなどがあると途端に維持することが厳しくなってきます。
このようなケースではマイホームのほうに影響が出ない為にも支払い厳しくなってきた場合には見直す必要があり、差押えや公売のリスクを避ける必要があります。
税金が負担になる前に早く売る方が得
自分が住まない不動産は税金やメンテナンスにかかる費用と手間を発生させるだけですから、早急に手放す方が断然お得です。
税滞納によって万一差し押さえ、公売となった場合は市場価値の5割程度といった安値で換価されてしまうこともあるので、大変な損になります。
一般市場で売る場合でも、家屋は年数経過とともに資産価値を急激に落としていきますから、とにかく早く売るのが鉄則です。
ただ相続物件などは築年数の相当古いケースが多く、売りたくても買い手が付きにくいことがあります。
古い物件に関しては仲介ではなかなか早く売ることが難しくなります。
その場合は不動産業者に直接買い取ってもらうことも可能です。
建物が古くても、専門の不動産業者であれば必要な改修や開発を行うことで利用価値を出していくことができます。
仲介による売却よりは多少買い取り値が下がりますが、公売で買いたたかれるよりはよっぽどマシです。
空き家の税金が負担になる前に、速やかに売却を成功させましょう。
(関連記事:空き家を放置しておくと損をする?空き家問題とその対応について不動産のプロが教えます)
(関連記事:【空き家の売却】相続した空き家を売る方法をご紹介!)
記事監修者 かながわ行政書士事務所 代表 池田 晴香
行政書士
かながわ行政書士事務所ホームページ:https://kanagawa-gyosei.com/
WEB制作会社に営業として勤務後、学生時代から就職後も続けていた音楽関係の仕事をきっかけに
ラジオパーソナリティー、ナレーション、朗読などの声の仕事を始める。 30代、行政書士の仕事をスタート。
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