【2021年】特定事業用資産の買換え特例で譲渡益の課税の繰り延べ。特例を使って不動産の資産を上手に買い換える

不動産買取, 事業・投資に関するお役立ち情報

賃貸経営で利回りの高い有益物件への買い替えを検討することもあります。
そのような時に利用を検討できるのが「特定事業用資産の買換え特例」です。
この回では本特例がどのようなものか見ていきます。

 

事業用資産

特定事業用資産の買換え特例の概要

不動産を譲渡して譲渡益が生じた場合、不動産譲渡所得税の課税対象になるので一定の税負担が生じることになります。
この特例は一定の要件を満たす場合に、その不動産譲渡所得を計算上減らして、課税対象となる譲渡所得の一定割合を将来に繰り延べることができるものです。
特定事業用資産の買換えの特例は、本来その時に課税される税金を繰り延べることを目的とした制度とくで譲渡益が生じた際に非課税とする特例ではないので注意が必要です。
自分が住むような一般的なマイホームにも買い替えの際の特例がありますが、本特例はそれとは別物で、個人の方が所有する事業用不動産の買い替えのみが対象になります。
なお同様の施策が法人にも用意されていますが、本章では個人の方向けの施策を解説します。

ポイント
事業用資産は不動産所得や事業所得、山林所得を生じる事業に供される固定資産をいいます。
一般的に分かりやすい固定資産の中にアパート、賃貸マンションや駐車場といった資産が挙げられます。

 

課税対象となる譲渡所得をどれくらい減らせるのか?

ここでは本特例を利用した場合の原則の計算方法を見てみます。

①売った不動産の譲渡価額 ≦ 買った不動産の取得価額の場合

まずは以下のABを計算します。

A: 売った不動産の譲渡価額×0.2=収入金額
B: (売った不動産の取得費+譲渡費用)×0.2=必要経費

 

そして以下を計算し、課税対象の金額を算出します。
収入金額-必要経費=課税される譲渡所得の金額

「課税される譲渡所得の金額」を超える所得が将来に繰り延べられることになりますが、概念的には本来の課税対象の80%が繰り延べられる(今回売却分の課税対象となる譲渡所得は20%分)と考えればOKです。

②売った不動産の譲渡価額 > 買った不動産の取得価額の場合
この場合、まずは次のABを計算します。

A:売った不動産の譲渡価額-買った不動産の取得価額×0.8=収入金額
B:(売った不動産の取得費+譲渡費用)×(収入金額÷売った不動産の譲渡価額)=必要経費

 

そして以下を計算し、課税対象の金額を計算します。

収入金額-必要経費=課税される譲渡所得の金額

こちらも「課税される譲渡所得の金額」を超える所得が将来に繰り延べられることになりますが、概念的には繰り延べの対象になるのは最大80%で、買い替える不動産の金額が小さくなるほど繰り延べ対象の価額も小さくなることになります。

特例の留意点

本特例の利用を考える際は以下の3点に留意します。

①非課税となるわけではない

最大80%の譲渡所得を繰り延べることで今回売却分については減税の恩恵を受けられますが、この特例はあくまで将来に繰り延べられるのであって非課税となるわけではありません。
買い替えた不動産を将来売却するときに、今回繰り延べた譲渡所得を加味して不動産譲渡所得税の計算を行うことになります。
ただ、将来の売却時にも経費などによって譲渡所得を圧縮することができるので、場合によっては実質的に税負担が生じない可能性は残ります。

②地域によって課税割合が変わることも

地方にある不動産を売って首都圏やその近郊の物件に買い替えた場合、繰り延べられる譲渡所得の割合が低下し、その分課税対象となる譲渡所得額が上がることがあります。
原則として80%程度が繰り延べ対象となるところ、これが75%~70%まで低下し、これによって課税割合が25%~30%まで上がることがあります。

③一定の要件を満たすかどうか検討を要する

本特例を利用するには非常に細かい要件を満たす必要があります。
譲渡する不動産と買い替える不動産が存する地域や、売りたい不動産の保有年数、土地であれば面積などに要件がかかり、その他にも種々の条件を満たさなければならないので、利用可否の判定や有利性の判断が素人には大変です。

収益不動産

特例を受ける為の要件

特定事業用資産の買い替え特例を受ける為にはいろいろな要件に当てはまることが必要となります。
以下で主な要件を解説していきます。

①譲渡資産と買換資産は、共に事業用のものに限られる

この特例を利用する場合、売却する物件と買い換えをする物件が事業用として使用する必要があります。
分かりやすい例としては物件を賃貸で貸している場合には事業用物件としてみなされます。

②譲渡資産と買換資産とが、一定の組合せに当てはまるものであること

この要件では組み合わせのパターンはいくつかあります。
例として物件を「売った年の1月1日において所有期間が10年を超える国内にある事業用の土地等や建物かつ国内にある事業用の土地等や建物を取得する」場合、また土地の場合にはその面積が300㎡以上のものに限られます。
※この特例は、令和5年3月31日までの譲渡について適用されます。

この要件の内容は複雑となる為、詳細は国税庁「事業用の資産を買い換えたときの特例」をご参照ください。

③買換資産が土地等であるときは、取得する土地等の面積が譲渡した土地等の面積の5倍以内

買い換えの資産が土地の場合、原則として売った土地等の5倍以内である必要があります。
5倍を超える部分は特例の対象にはなりません。

④資産を譲渡した年か、その前年中、あるいは譲渡した年の翌年中に買換資産を取得する

この要件では期間内に買換資産を取得する必要があります。
売った年、その前年中、翌年中の期間で買い換え資産を取得する必要があります。
また、取得をする期間により税務署に提出をする書類が変わるので注意しましょう。
前年中の取得・・・「先行取得資産に係る買換えの特例の適用に関する届出書」の提出
翌年中の取得予定・・・「買換(代替)資産の明細書」

⑤買い換え資産を取得した日から1年以内に事業に使用する

取得した物件については1年以内に事業で使用する必要があり、また1年以内に事業に使用しなくなった場合は原則として特例は受けられなくなります。

⑥重複して特例を受けることは出来ない

この特例を受けようとする資産については他の特例を適用出来なくなります。

⑦土地の譲渡について

土地の譲渡は原則、売った年の1月1日に所有期間が5年を超えている必要があります。
ただし、内容によっては1月1日時点で10年を超えていることが要件となります。

⑧譲渡資産の譲渡が収用や贈与、買い替え資産の取得が贈与や交換等ではないこと

特定事業用資産の買換え特例での要件は判断が難しい為、少なくとも、こういう特例があるということだけは覚えておき、実際に買い替えの可能性が出てきた時点で専門家に相談するのが良いでしょう。

なお本特例の詳細は以下で確認できます。
国税庁「事業用の資産を買い換えたときの特例」

特定事業用資産の買換え特例の申告、期限、手続きについて

特定事業用資産の買換え特例を利用する際には、確定申告をする必要があります。
申告をする期間は資産を売却した翌年の3月15日までとなり、所得税に関する確定申告を行うようになります。

申告時に必要となる書類

①譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
②買換資産の登記事項証明書などその資産の取得を証する書類
③譲渡資産及び買換資産が特例の適用要件とされる特定の地域内にあることを証する市区町村長等の証明書 など

(注) 買換資産を取得する見込みで、この特例の適用を受けた場合には、上記の(2)の登記事項証明書などは、買換資産を取得した日から4か月以内に提出しなければなりません。

上記3項目に関しての書類が必要となりますが、③の書類に関しては用意しなくても良いケースがあります。
必要になるかなどご不明な場合は税務署等に事前に問い合わせると良いでしょう。

(参照:国税庁「事業用の資産を買い換えたときの特例」)

買換える資産が決まっていない場合の手続き

確定申告をする3月15日までに買換え資産が決定していない場合、以下のような手続きを取ることが出来ます。

(1) 更正の請求
買換資産を取得する見込みでこの特例の適用を受け申告した買換資産の取得価額の見積額より実際の取得価額の方が多かった場合には、 買換資産を取得した日から4か月以内に「更正の請求書」を提出して所得税の還付を受けることができます。
(2) 修正申告
買換資産を取得する見込で、この特例の適用を受け申告した買換資産の 「取得価額の見積額」より「実際の取得価額」の方が少なかった場合には、買換資産を取得した日から4か月以内に修正申告をし、差額の所得税を納付しなければなりません。

より詳しい内容をお知りになりたい方は下記をご参照ください。
国税庁「事業用の資産を買い換えたときの特例-5

特定事業用資産の買換え特例で注意すべき点

事業用資産の買換え特例を利用する際は、注意すべき事項もあります。
資産の買換えをした場合に買換えをした資産の取得日はその資産を取得した日となります。
買換え資産では譲渡(売却)資産の年数の引継ぎが出来ない為、買換えた資産を5年以内に売却をする場合には短期譲渡となってしまいます。
短期譲渡となった場合、税率が39.63%となる為、課税額も高額となりますのでよく考えた上で手続きを行う必要があります。

まとめ

上手く収益が上がらない物件や活用方法が難しい土地などを所有されている方は物件を所有していても上手く活用出来ない場合には将来的に売却や買い換えを検討されています。
買い換えの場合は特定事業用資産の買換え特例を利用することによって条件が良く、上手く活用出来る物件を取得出来ることがあります。
この特例では譲渡所得の一定割合を将来に繰り延べることを目的としているため、利用するにあたっては税務署や税理士に相談の上、利用すると良いでしょう。

アパートや事業用の土地などを売る際には物件によってはなかなか売れず、買い換えが上手くいかないことがあります。
その場合、不動産の買取も検討することによって上手に買い換えが出来ます。

特例や売り方を考えれば有効活用の出来る不動産を取得出来ることもありますので一度検討してみるのも良いのではないでしょうか。

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記事監修者 かながわ行政書士事務所 代表 池田 晴香
行政書士
かながわ行政書士事務所ホームページ:https://kanagawa-gyosei.com/
WEB制作会社に営業として勤務後、学生時代から就職後も続けていた音楽関係の仕事をきっかけに
ラジオパーソナリティー、ナレーション、朗読などの声の仕事を始める。 30代、行政書士の仕事をスタート。
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東急田園都市線たまプラーザ駅の不動産会社、センチュリー21アイワハウス。不動産売買・賃貸・賃貸管理・建売事業など不動産の様々な分野に取り組んでいます。特に不動産売却や不動産買取(自社買取)は取り扱いも多く、ノウハウがあります。相続、空き家、事故物件などにも対応。不動産・住宅のことならセンチュリー21アイワハウスにお任せください。
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【2021年】特定事業用資産の買換え特例で譲渡益の課税の繰り延べ。特例を使って不動産の資産を上手に買い換える
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センチュリー21アイワハウスでは事業用不動産にも対応。特定事業用資産の買換え特例は個人でアパート経営や賃貸経営をしている方が利回りの高い有益物件への買い替えを検討する際にも利用することが出来ます。特定事業用資産の買換え特例を利用することで譲渡益が出た際に将来に譲渡益に掛かる税金を繰り延べることが可能です。
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