コロナ禍で見直される住宅事情、広い家・間取りへの希望も
不動産業界、住宅業界でもコロナの影響を受け、従来と比べいろいろな面で変化が出てきています。
本章ではコロナ禍で見直される住宅事情について見ていきます。
世界を激震させた新型コロナウイルスを完全に抑え込むことは難しく、今後しばらくはウイルスとの共存を余儀なくされる公算が強まっています。
働き方も含めてこれまでの生活スタイルの変容を迫られる中、住宅事情についても意識に大きな変化が生じています。
コロナ禍の在宅勤務で見えてきた課題とは
安倍政権下で発出された緊急事態宣言が解除された今年6月に、ミサワホーム総合研究所が戸建て及びマンションに居住する800人余りに対して、ある調査を行いました。
調査項目の一つとして「在宅勤務での困りごと」として意見を聴取したところ、回答数が多い順に以下のようになりました。
二位:運動不足や座りっぱなしによる身体疲労
三位:仕事に適した家具、設備がない(デスク、モニタ、椅子など)
四位以下続く
(出典:ミサワホーム総合研究所『新型コロナウイルス影響下における住まいの意識調査レポート』より)
最も多い回答だった「仕事に適した部屋が無い」というのは、居住が目的の住宅であることを考えればある意味当然と言えます。
設備などのソフト面も含めて仕事をする環境としては望ましいとは言えず、効率の悪い、負担がかかる環境で仕事をせざるをえないということで、疲労が増幅されたと見ることができますね。
世の家庭では具体的にどんな問題が起きたのか?
前項の調査とは別に、ネット等で在宅勤務の問題は多く発信されています。
主だったものを集めてみると、以下のような意見を採取できました。
①PCの作業スペースがない
まずPCを置く台すらなく、物置の端っこにどうにかスペースを確保できたと思ったらwifiの電波が届かなかった。
②生活音の問題
リモート会議中に背後の生活音を聞かれてしまい恥ずかしい思いをした、自宅内の音だけでなく、自宅周辺で不意に発生する音も聞こえてしまうことがあった。
③子どもの存在
子どもは在宅で仕事をしているという状況を理解するのが難しく、ちょっかいをだされるなど仕事に集中できないことが多かった。
④夫婦で在宅勤務をする問題
夫婦で共に在宅勤務をしなければならず、同室でPC作業をしていたら、リモート会議中の夫の声をリモート打ち合わせ中の妻のマイクが拾ってしまったり、ノイズが発生するなどして仕事の質が低下した。
以上主だったものを見てきました。
各家庭の環境は様々でしょうが、実際に在宅ワークをしてみると色々な問題が浮上したようですね。
今後望まれる住宅の間取りは?
さて冒頭の項で取り上げた調査では、在宅勤務のためのスペースとしてどのような空間があると良いかという問いに対し、「四畳半程度の個室」、「二畳程度の最小限の個室」という回答が多く挙がったようです。
四畳半くらいのスペースがあれば、他の家族がいる部屋で気を散らしながらとなるよりも、はるかに楽に仕事ができそうです。
また二畳程度となると生活スペースとしてはあまり役に立ちませんが、PC作業がメインの在宅勤務であれば、本当に「最小限」の作業はできそうですね。
贅沢は言わないから、小さくてもいいので仕事に集中できる個室が欲しい、というニーズが強く感じられます。
見直される住宅設備と位置
ステイホーム期間など家にいう時間が増え、コロナ対策を行う結果、住宅設備などにもいろいろなニーズが出てきています。
●玄関付近に洗面室
ウィルスを室内へ持ち込まない為に帰宅後にすぐ手洗いやうがいが出来るように
玄関からすぐに洗面室に行ける導線が好まれています。
コロナウィルス対策のほか、インフルエンザや風邪予防の対策にもなります。
●玄関付近の収納スペース
玄関付近に収納出来るスペースを設けることにより、コートなどの衣類や荷物などを収納することができ、ウィルス・菌、花粉などの対策をとることが出来ます。
●宅配ボックスの設置
ステイホーム期間でインターネットを利用した買い物の頻度も増えました。荷物の受け取りも相対して行わなくて済みます。不在時にも荷物を受け取れるので人気の設備です。
●生活用品の収納スペース
買い物の頻度を少なくし、まとめ買いをする方も増えています。その為、まとまった生活用品を収納する為のスペースが必要となります。
また、災害時などの備蓄も出来る為、重宝する設備です。
●換気設備の見直し
室内の換気はウィルス、風邪予防の対策にも効果があります。
その為,窓が多く換気がしやすいお部屋や24時間換気、換気扇の位置などを換気がしやすいシステムが注目されています。
●庭、バルコニー、屋上のスペース
気分転換できるスペースとして、庭やバルコニー、屋上など外部のスペースが欲しいという意見も多く見られました。
在宅勤務では効果的な気分転換が難しいので、外の空気を存分に吸える環境が欲しいというニーズが伺えます。
今後予想される住宅流れ
今後は在宅勤務が増える可能性が高いと思われますから、新築の住宅設計や、中古家屋のリフォーム、リノベーションなどで在宅勤務用のスペースを考慮した物件が多く登場してくるかもしれません。
近年は管理の手間がかからない小さなマイホーム志向が多かったように思いますが、今後は仕事環境を考えた少し広めの家の需要が増えることが予想されます。
(関連記事:『コロナ禍で見直される住宅事情、広い家・間取りへの希望も』)
(関連記事:『アフターコロナで予想される今後の住宅事情』)
記事監修者 かながわ行政書士事務所 代表 池田 晴香
行政書士
かながわ行政書士事務所ホームページ:https://kanagawa-gyosei.com/
WEB制作会社に営業として勤務後、学生時代から就職後も続けていた音楽関係の仕事をきっかけに
ラジオパーソナリティー、ナレーション、朗読などの声の仕事を始める。 30代、行政書士の仕事をスタート。
→センチュリー21アイワハウスの編集ポリシー