老後の戸建てからマンションの住み替え。メリットやデメリット、注意事項をご紹介
戸建てのマイホーム取得が一種のステータスだった時代もありましたが、最近は戸建てよりマンションの方を好む人も増えています。今回は中高齢世代の方が老後を見据え、戸建てからマンションに住み替えることについての是非を考えてみます。
【目次】
特に年齢を重ねると、戸建ては維持管理を手間に感じることが多くなるようで、コンパクトなマンションへ住み替えを検討する人も多いようです。
中高齢世代に好まれる背景は?
国土交通省が行った「平成27年度住宅市場動向調査」によると、住宅取得の動向としてマンション購入者の平均年齢は年々上昇しているという結果が出ています。
(参照:国土交通省「平成27年度住宅市場動向調査」)
また二回目以降の住宅取得について、世帯主の年齢は半数以上を50代が占め、多くがマンションを購入対象にしています。戸建てからマンションに住処を移す傾向が強いということが読み取れますが、なぜマンションが好まれるのでしょうか?
50代という年齢は子供が独立し、同居する家族が減る世代と重なります。若い世代は子供ができ家族が増えるとアパートが手狭になって戸建て取得を考えますが、中高齢者層はその逆で、広い家は手に余ってしまいます。体力が落ちれば部屋の掃除や庭の手入れも面倒になるでしょうし、「身丈に合ったコンパクトな家の方が良い」と思うようになることは自然でしょう。
最近は戸建てでも一階建てのコンパクトな設計がありますが、昔建てた家は二階建てが多いので、階段の上り下りをして住む人のいない部屋の管理までするのは心身ともに負担がかかります。それならば管理しやすいマンションに住み替えを、というのは自然な流れかもしれません。では戸建てからマンションに住み替えた場合のメリットはどんなものがあるか考えてみましょう。
戸建てからマンションに住みかえるメリット
①戸建てよりバリアフリーに近い
よくある戸建てはいわゆる日本家屋が多いですが、どうしても段差が多い設計なので高齢になると不便を感じます。マンションは設計上段差が少ない物件が多いので、高齢者も比較的安心です。段差がなければお掃除ロボットなども使用できるので掃除の手間も減りますね。
②防犯性が高い
防犯性の面では戸建てはかなり不利なのはお分かりだと思います。高層階で人の目もあるマンションの方が安心感を得られます。
③周辺環境の良さ
マンションは人口の多い地域に立てられることが多いので、立地的に利便性の確保がしやすいメリットがあります。高齢になると、医療施設の利用がしやすく、また交通の便がよい方が安心できます。
④買い物難民を避ける
郊外ではスーパーの撤退で買い物難民となる人も増えているようです。人口が多いマンション周辺ならば歩いて買い物もできるので心配がありません。
リスクとデメリットはどうか?
ではマンションに住み替えることのリスクやデメリットはないか見てみましょう。
①管理費や積立費がかかる
マンションの場合、戸建てと違って屋根の張替えなどを自分でする必要はありません。その代わりマンション全体の維持管理のために管理費や積立費の出費が必須です。
②管理組合に強制参加
分譲マンションでは必ず管理組合に組合員として参加しなければいけません。また輪番制で役員への就任も求められます。戸建ての場合も町内会がありますが、マンションの管理組合は町内会よりも強制力が強いので煩わしさを感じるかもしれません。
③ローン残債の問題
まだ住宅ローンが残っている場合、残債を解消しないと自宅を売ることができません。手元資金で新居の購入ができればいいですが、通常は旧マイホームの売却代金を充てますから、オーバーローンでは売却できません。住み替えローンの利用も検討できますが、将来の負担が増えてしまいます。
リフォームを考えた住み替え
居住年数が長くなれば、当然築年数も古くなってきます。30代で購入した新築戸建てであれば50代になると築20年程の物件となります。中古物件を購入していた場合はそれ以上の築年数となります。住宅設備には耐用年数があり、キッチンやバスルームなどもある程度の時期になると交換などを検討する必要が出てきます。
また、外壁などの修繕も雨漏りを防ぐためのコーキングや外観を綺麗に保ち、防水性を上げる為に塗装などを10年に1度くらいの頻度で行う必要があります。リフォームをするにも設備の入れ替えで数百万、場合によっては1,000万円を超える場合もあります。外壁の塗り替えなどは200万円~300万円ほどの費用がかかります。リフォームをするにも設備のこだわりや建物の広さによりリフォーム費用は変わってきます。
また、建て替えを行おうとする場合は1,000万円以上かかることが多くなります。わりと費用がかかることからリフォームをするよりも売れる時期に戸建てを売り、売却をした資金を充てて住み替えをする人も少なくありません。
費用面で問題なければ検討可
費用的な問題をクリアできれば、老後を考えてメリットの方を強く感じるのであれば住み替えは大いに検討対象になると思います。
上で見た以外にも、人によってメリット・デメリットが違ってくるでしょうから、それぞれの環境を考慮してメリット面が大きくなるようであれば、マンションへの住み替えを検討する価値は高いでしょう。
住み替え、買い替えは難度の高い作業になるので、十分な期間を確保したうえで、信頼できる不動産業者と二人三脚で進めていく必要があります。
住み替えでは資金計画に注意
売却をした物件の資金でマンションの購入が出来ればよいですが、必ずしもそうとは限りません。この場合には、金融機関から住宅ローンを借りるようになりますが、以前に購入した際と比べて金融機関の審査や借入期間は厳しくなります。月々の収入の他、退職金や定年後の支払い能力があるかどうかも厳しく見られるようになります。ここでは金融機関で借りられる最大の金額を見るよりも、月々無理なく返済していける金額かを考慮する必要があります。売却をしたが住宅ローンが借りれず、マンションを購入出来なかったということにならないように、借りれるかどうかを調べて事前に資金計画を立てる必要があります。
また、一戸建てを売却しても住宅ローンが完済出来ない場合は、その物件を自体を売ることが出来ません。金融機関によっては前の家のローンの残債を上乗せして、次の住宅ローンに組み込むことが出来るようですが、金融機関の審査は厳しく見られます。金融機関の借入の相談は個人でも出来ますが、不動産業者を通して相談することでよりスムーズに条件が良く借りられることがあります。今まさに住み替えをご検討の方は、不動産業者へご相談してみると良いでしょう。
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記事監修者 かながわ行政書士事務所 代表 池田 晴香
行政書士
かながわ行政書士事務所ホームページ:https://kanagawa-gyosei.com/
WEB制作会社に営業として勤務後、学生時代から就職後も続けていた音楽関係の仕事をきっかけに
ラジオパーソナリティー、ナレーション、朗読などの声の仕事を始める。 30代、行政書士の仕事をスタート。
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