広がりを見せるワーケーションによって不動産にはどのような影響があるか
ワーケーションが上手く根付けば、一石二鳥、一石三鳥の効果があるともされています。
本章では広がりを見せるワーケーションの不動産への影響を考えてみましょう。
昨年に続き、今年2021年もしばらくはウィズコロナの生活スタイルが求められそうです。
収まりを見せないコロナ情勢の中、新しい働き方「ワーケーション」がここにきて改めて注目されています。
ワーケーションという働き方
「休暇」と「仕事」をセットで考え、半分は余暇を楽しみ、半分は仕事をするという働き方ですが、この言葉自体はコロナが発生するかなり以前から、海外で提唱されていたようです。
日本国内でもほどなくして登場しますが、当初はコロナ対策として用いられていたわけではなく、働き方改革の一環として提唱されていたものです。
これが今般のコロナ騒動でその効果が予想よりも大きいのではないかと話題になり、各方面で検討され広がりを見せています。
ワーケーションのメリット
ワーケーションを導入するメリットはどのようなことがあるのでしょうか。
代表的な内容をご紹介いたします。
①休暇の調整しやすい
日本企業では有給休暇の取得を促しているものの現状ではなかなか長期的な休暇をとることが難しい場合があります。
ワーケーションを導入することにより仕事をしながらも旅行ができプライベートも充実させることが出来ます。
このワーケーションが浸透することにより休暇を取る認識も変わってきそうです。
②仕事がしやすい
オフィスにいると電話応答や違った業務を任せられることがありますが、ワーケーションをすることで余計な対応が無いので短期的に仕事を集中して行えるため、効率が上がります。
③ストレスなく仕事が出来る
ワーケーションでは仕事だけでなく、リゾートなどで仕事をする為、リラックスしながら仕事をすることが出来ます。
家族が一緒にいる場合は家族との時間も増え、仕事以外も充実させることが出来ます。
ワーケーションのデメリット
ワーケーションを導入した場合、メリット以外にデメリットも出てきます。
デメリットに関しても確認していきましょう。
①仕事環境の整備と費用がかかる
ワーケーションによる仕事の場合、インターネットを利用した仕事の方法が大半となります。
その為、ネット環境の整備やパソコンなどの整備などに費用がかかります。
②個人情報や企業情報などのセキュリティ
会社が社員にパソコンなどを貸与することにより、インターネットのセキュリティや紛失や盗難にあった場合も想定しなければなりません。
情報漏洩は昨今ではより重大な要件となりますので対策が必要です。
③仕事、時間の管理をしなければならない
社員の場合はオフィスにいるよりも時間に融通が利くため、自己管理が必要です。
また、会社側としても社員の仕事や時間の管理が必要となってきます。
ワーケーションの副次的効果
ワーケーションは単なる働き方改革だけに止まらず、他方面に正の作用をもたらす期待が持てるとして、政府も積極的に後押しする姿勢を見せています。
まず、コロナ事情のもとでインバウンド需要は激減し、観光業には大打撃となっています。
ワーケーションは国内の観光需要を喚起する作用があるので、こちら方面で経済に良い影響をもたらしてくれます。
さらに、会社員などが個人個人でワーケーションを考えるようになれば、おのずと休みは分散されることになります。
従来であれば、例えば行楽シーズンなど一定期間の集中した需要に頼ることが多く、そうすると短期間に人が集中するので、いわゆる「密」が生じコロナの感染リスクも増大します。
ワーケーションで観光需要の分散がなされれば、人の集中も避けられるのではないかと期待されています。
投資面で不動産の魅力がUP
こうしたワーケーションという働き方の広がりを見て、不動産投資の側面でも需要が高まっています。
先を見る目のある投資家は、今のうちから観光エリアで古民家やリゾートマンションを安く買い、ワーケーションに使えるように設備を整えて準備を始めている人も出ています。
ワーケーションの特性上、Wi-Fiなど通信設備は必須となりますから、働く人の需要や要望をしっかり満たせる環境整備が求められます。
こうした動きは個人投資家だけでなく、もちろん大手も乗り出しています。
日本の積水ハウスと海外のホテル大手が手を組んで、地方の道の駅に併設する小型ホテルのプロジェクトが発表されています。
手始めとして京都、栃木、岐阜、三重の4都府県から始めるようですが、順次全国に拡大予定とのことです。
道の駅は観光需要の足掛かりとして重要な役割を持つ施設ですから、うまくコラボレーションが叶えばワーケーション需要の拡大、発展につながりそうですね。
ワーケーションができる人は少ない?
設備面では需要の盛り上がりを見せていますが、一方でワーケーションができる人はどれくらいいるのでしょうか。
数字的な指標は確認できませんが、現状では少数派になると思われます。
パソコンがあればどこでも仕事ができるデジタルワーカーで、個人事業主などがまずはターゲットとなりそうです。
勤め人の場合会社の許可が必要になりますが、コロナの影響もありテレワークの重要性がさらに叫ばれる世の中になっています。
そこで、例えば仕事内容を整理して、ワーケーションでこなせる仕事だけを整理して観光地に持っていき、そこで仕事をしながら余暇も楽しむといったことは十分可能です。
在宅でテレワークができるのであればワーケーションとの違いはほとんどありません。
働き方改革とコロナ対策をうまく融合させてワーケーションがもっと加速すれば、地方の不動産や観光業に大きく寄与することができそうです。
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記事監修者 かながわ行政書士事務所 代表 池田 晴香
行政書士
かながわ行政書士事務所ホームページ:https://kanagawa-gyosei.com/
WEB制作会社に営業として勤務後、学生時代から就職後も続けていた音楽関係の仕事をきっかけに
ラジオパーソナリティー、ナレーション、朗読などの声の仕事を始める。 30代、行政書士の仕事をスタート。
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