【2023年】親の介護で一時的に実家に帰る場合、空き家になる自宅をどうする?
本章では両親を介護するために実家に帰らなければならないケースで、自宅をどうするべきか考えます。
【目次】
自宅を空き家にすると生じる不都合
住宅はだれも住まなくなると湿気などの影響で腐食が進みやすくなり、朽ちるスピードが極端に早まります。家族が残って住む場合は良いですが、だれも住まない場合は不動産としての価値を急激に低下させることになります。また空き家状態であっても固定資産税はかかりますから、長期にわたる場合は経費だけがかかる状態となり不経済を招きます。空き家にすることは非常にもったいないので、何らかの手段で活用する手立てを考えなくてはなりません。
元々築年数が古い物件などの場合には、管理者が不在となった際に倒壊のおそれがあったり、不具合が生じた際に近隣トラブルが発生するリスクが出てきてしまいます。
介護にどれくらいの期間を要するか考える
介護のためにどれくらいの期間を要するのか、できるだけはっきりさせると自宅の扱いをどうするべきか考えやすくなります。転倒による骨折など、ケガが原因の場合は完治まである程度の目安を付けやすいでしょう。
病気の場合は、手術からの回復までなど短期間なのか、それとも長期の自宅療養などで相当長い期間を要するのかによって分かれてくるでしょう。
少なくても数年は自宅に戻ってこられないケースでは、思い切って自宅を売却してしまうことも考えられますが、介護は一時的な場合が多いので、その間だけ自宅を賃貸に出すことができれば有効な利用策になります。
概ね半年以上の期間を要するケースの場合、「リロケーション」という手法で賃貸に出すと、手間なく賃貸に出すことができるので便利です。
リロケーションとは?
従来、不動産を他人に貸し出す場合、一度貸してしまうとオーナーが望む時期に確実に賃貸借契約を終了させることが難しかったため、一時的な帰郷などのケースで安心して他人に貸し出すことができませんでした。
借地借家法の改正によってこの問題が解決され、「定期借家契約」という方法を用いることで、将来オーナーが望む任意の時期に確実に賃貸借契約を終了させ、物件を手元に取り戻すことが可能になりました。
例えば介護で帰郷するのが8か月程度であれば、その8か月間だけ賃貸に出して、期間が終わればまたオーナーが自分の自宅として利用できることが確約されます。
介護期間が1年であれば、その期間を借り手との契約期間に設定すればいいわけです。
もし当初の期間よりも介護が長引くことになった場合、定期借家契約を延長することもできます。
例えば当初は半年の介護の予定だったため、定期借家契約も半年に設定していたところ、病気が重なり期間が延びてしまった場合は、定期借家契約も延長することができます。
必要に応じて契約期間を伸長することができるので、見通しが立ちづらい介護のケースでも柔軟な運用が可能です。
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物件管理や賃借人管理も任せられる
実家に戻るために自宅を離れることになりますから、物件管理や賃借人の管理ができなくなりますが、この点は心配要りません。
リロケーションを手掛ける不動産業者に管理を委託すれば、必要な仕事をすべて任せることができます。
委託費用はかかりますが、家賃収入の数パーセント程度ですので、それほど大きな出費にはなりません。
むしろ、税金だけがかかる負の資産を家賃収入が発生するプラスの資産に変えてくれるわけですから、どちらがお得かははっきりしています。
加えて住人が入るため家屋の腐食が進みにくくなるメリットもあります。
リロケーションは概ね半年以上の期間を設定しないと借り手が付きにくいというデメリットもありますが、介護期間がそれ以上になるケースでは積極的に検討すべき手段といえます。
リロケーションとして賃貸するデメリット
自宅をリロケーションとして貸し出す際には当然デメリットもあります。
ここでは考えられるケースを挙げていきます。
①定期借家契約の為、高い賃料では貸せない
賃貸を借りる方は大半の方が賃貸契約が更新出来る「普通借家契約」を選択される方が多いです。
魅力的な物件でも定期借家契約では「〇ヵ月後、〇年後には引越さなければならない」という契約となることから賃貸相場の賃料ではなかなか借り手がつかないことも多いのです。
その為、期間限定でも借りてもらえるような賃料の設定を行う必要があります。
②期間満了までは戻ってくることが出来ない
リロケーションで貸し出した場合、状況が変わり自宅に戻れることになってもすぐに戻ることは出来ません。
原則、定期借家の契約では期間満了までは入居者の契約がある為、退去してもらうことが難しくなります。
また、普通賃貸借契約で貸し出した場合は特段の自由がない限り更新が可能な契約となるので簡単に戻ることが出来なくなります。
定期借家契約でも普通賃貸借契約でも大家の意向で簡単に引越しをしてもらえる訳ではありません。
特に高い賃料で貸し出したいからといって普通借家契約とする場合は自身が戻ってくる場合には別の場所に引越さなければならない可能性があるので注意しましょう。
③貸し出す前には荷物移動が必須
賃貸として貸し出す訳ですから荷物は当然そのままにしておくことが出来なくなります。
実家への家具・家電の移動が出来ない場合には処分することも検討しなくてはなりません。
カーテンやエアコンなどは設備として室内に残すことが出来る場合があります。また、残置物(サービス品)として入居者に利用してもらうことが出来ます。
【注意点】
設備とした場合、不具合が発生した場合には修復しなければなりません。使用年数などを考慮し決めるのが望ましいです。
残置物として置いていく場合には入居者に処分されてしまうケースがあります。
④リフォームが必要
賃貸として貸し出すので、荷物を出しただけでは貸し出すことは難しいです。
室内がきれいでも最低でもルームクリーニング、ハウスクリーニングが必要となります。
クロスが汚れている場合は貼り替えをしたり、設備に不具合がある場合には修繕をして貸し出すことが一般的です。
その為、貸し出すにあたり費用が発生するためよく不動産会社と打合せをして決めるようにしましょう。
⑤入居者が決まるまで賃料が入らない
不動産会社と賃料保証の契約や借上げの契約などをしていない限り、入居者が決まるまで賃料が入ってきません。またこのような契約をしている場合は管理の手数料が高くなることがあるので、月々にはいってくる賃料が少なくなる可能性があります。
住宅ローンの残債がある場合、その支払いがありますので注意が必要となります。
自宅を貸し出す際には後々自身が困らないように不動産会社としっかりと打合せをしましょう。
(関連記事:『リロケーションとは何か』)
長期化する場合は売ることも検討
リロケーションをされる方の中には合わせて不動産の売却を検討される方もいます。
リロケーションなど賃貸に出す際には不安がある方もいらっしゃいます。その原因は以下の通りです。
・入居者が居ない期間、賃料が入らない
住宅ローンの支払いがある場合、滞納してしまう可能性があります。また、支払いが出来ていない場合は最悪の場合、競売になる可能性もあります。
分譲マンションの場合、住宅ローンの支払いのほかに管理費・修繕積立金の支払いがあります。この費用も支払いをしていないと差押えになる可能性があるので注意しましょう。
(関連記事:『相続した不動産は使わなくても税金や維持費用がかかって大変です!』)
・室内に不具合が生じた場合の修繕・交換費用
設備等は消耗品の為、不具合、故障が生じるケースがあります。賃貸でも多い不具合の例として給湯器が故障してしまうケースがあります。
給湯器のサイズにもよりますが、分譲マンションや戸建ての場合は設備が良い(追焚機能・床暖房・浴室乾燥機など)ため大型の給湯器がついていることがあります。
交換となってしまった場合は数十万の費用がかかってしまいます。
不安を抱えながら生活をするのが嫌な方は売却を選択されています。
仲介による売却
仲介による売却は不動産会社に売却を依頼して販売する方法です。制約となった場合は、仲介手数料が発生します。
仲介では売却期間3ケ月ほどで売れるように価格を設定します。しかし、場合によっては1年以上売れないということもあります。
また、売るために掃除をしたり物件のメンテナンスの必要があります。
買取による売却
買取による売却は不動産会社が物件を買取りしてくれる売却方法です。仲介よりも価格は安くなってしまう傾向がありますが、販売期間も短く、すぐに現金化することが可能です。
不動産会社による直接買取であれば仲介手数料は不要となります。
すぐに売れる為、物件のメンテナンスの必要はありません。
(関連記事:『不動産買取にかかる費用とは?買取と売却比較』)
自分が住んでいない家をメンテナンスするのは労力がいります。実家が遠方の場合、確認にくる必要があり時間と費用がかかります。
出来る限り手間をかけず不安も解消したい方は売却という選択肢も有効です。
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まとめ
一時的に自宅を留守宅とする際は短期になるのか長期になるのか考える必要があります。
リロケーションにしても仲介、買取の売却にしても一度不動会社の意見を聞くことをおススメします。
第三者から意見はとても参考になり、ましてや不動産のプロの意見を聞けるので一人で悩む必要はありません。
話しを聞いたり査定をしてもらうこと自体には費用が発生することはありません。
買取の査定をご希望の方は是非、ご相談ください。
記事監修者 かながわ行政書士事務所 代表 池田 晴香
行政書士
かながわ行政書士事務所ホームページ:https://kanagawa-gyosei.com/
WEB制作会社に営業として勤務後、学生時代から就職後も続けていた音楽関係の仕事をきっかけに
ラジオパーソナリティー、ナレーション、朗読などの声の仕事を始める。 30代、行政書士の仕事をスタート。
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