コロナショックで住宅ローンが払えない場合競売のリスクも。対応策もご紹介
今年猛威を振るった新型コロナウイルス感染症は世界中の経済を停滞させ、日本経済も大きな打撃を受けました。
この回ではコロナの影響で住宅ローンの返済ができなくなるとどうなるのか、対応策と共に見ていきます。
安定した収入があることを前提に住宅ローンを組んだ人の中には、会社の事業が停止、縮小したことで収入が減ったり、ボーナスがなくなったり、あるいは解雇されたりして返済計画が狂ってしまった方もいるのではないでしょうか?
ローン返済で苦しむ人が増えている
フラット35などの住宅ローンを扱う住宅金融支援機構によれば、今年2020年の住宅ローンの支払いについての相談件数が2月時点の15件から5月には2265件へと大幅に増えたと発表されています。
この数字を見てもコロナの負の影響は確実にローン返済者に負担を与えていることが推測できます。
もしローンの返済を焦げ付かせてしまうと、その後どのような事態になるのか順を追ってみていきます。
ローン返済できないとどうなる?
ローンの返済ができなくなると、約3か月後に金融機関から督促状が届くようになります。
それでも支払いができないでいると、期限の利益を喪失した旨の通知が届きます。
ローンは分割払いでしたが、期限の利益を喪失すると残額を一括で弁済しなければなりません。
一括弁済に応じられないと、次に保証会社が債務者に代わって代位弁済を行います。
これ以後は、銀行に代わって保証会社が債権者となり、ローン残額の取り立てを行います。
残額の一括弁済ができなければ、不動産は競売にかけられます。
競売は市場で売るのと違って交渉する権利もなく、市場価格よりも相当安い値で買いたたかれます。
本来の価格の半額程度にまで値が下がることもあるので、競売は絶対に避けたいものです。
競売で得た代金はローンの弁済に回されますが、それでも完済できない場合は別途返済を続けていかなければいけません。
残ったローンの額が大きく生活が回らなくなるようであれば、自己破産を考える必要も出てきます。
コロナの影響を考えて特別な対応が望める
通常であればローン弁済を滞らせるのは債務者の全責任ですから救済を受けることはできません。
ただ今年は世界的な経済停滞という特別な事情があるため、政府の後押しにより金融機関は住宅ローンの返済が苦しくなった債務者に対して柔軟な対応を取る姿勢を見せています。
例えば住宅金融支援機構は返済期間を延ばして毎月の返済額を縮小したり、ボーナス返済の見直しなどで債務者の負担を減らすような取り組みを見せています。
【住宅金融公庫の取り組み】
住宅金融支援機構ではコロナウイルス感染症の影響で返済が困難な方に向けて以下のような取り組みを行っています。
①新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少し、返済が大変になった際に返済の特例として返済期間の延長などが出来ます。
総返済額は増加してしまいますが、毎月の返済額を減らすことが出来ます。
②しばらくの間、返済額を減らして返済したい際には一定期間を設けて返済額を軽減出来ます。
相談をした期間内において、毎月の返済額を減らすことが出来ます。
減額の期間が終了後は返済額と総返済額は増加します。
③ボーナス返済が負担になっている際はーナス返済の見直しが可能となっており、ボーナス返済月の変更、毎月分・ボーナス返済分の返済額の内訳変更、ボーナス返済の取り止めが可能となっております。
上記を利用する場合には規定の条件を満たす必要があります。
経済事情や病気等の事情により返済が困難となっている方向けに条件が設定されており、例として倒産による解雇やリストラによる転職・退職、業績悪化による給与・ボーナスの減少などある方、今後の返済を継続できる方などの必要条件があります。
(詳細は住宅金融支援機構の資料をご参照ください。「今般の新型コロナウイルス感染症の影響によりご返済が困難になっているお客さまへ」)
また金融庁もコロナにより負担が増している債務者の窮状を救うべく、全国の金融機関が講じた措置をすくい上げ、好事例を共有できるように情報発信を行っています。
(参照:金融庁「新型コロナウイルス感染症を踏まえた金融機関の対応事例」)
住宅ローンの返済に係る相談があった際には、特別な審査を不要として最長1年間の元金据え置きの措置をとることや、返済猶予の求めに応じてまずは6ヶ月間元金を据え置き、6ヶ月後にその時点での状況を踏まえ対応を再検討する、また条件変更の手数料を無料にするなどの好事例を公表し、金融機関で共有できる体制をとっています。
いずれにしても、ローンの返済が難しくなった時は早めに金融機関に相談し、必要であれば条件変更を検討するなどして焦げ付きを回避する道を模索しなければいけません。
救済措置があるのにそれを利用しないままでいれば、通常通りの返済焦げ付きとなり、最終的にマイホームは競売にかけられてしまいます。
返済できなくなってからではなく、先を見通して苦しくなりそうだと察知した時点で早めに相談するようにしましょう。
「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」
新しい取り組みとして自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン研究会が『「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を新型コロナウイルス感染症に適用する場合の特則』を取りまとめ、令和2年12月1日に適用されました。
この特則は自己破産などの法的整理の要件に該当することとなった個人・個人事業主の債務整理を行い、自助努力による生活や事業の再建を支援するためのもので、一定の要件を満たすことが出来れば、住宅を手放すことなく、住宅ローン以外の債務の免除、減額の申し出を行うことが出来ます。
新型コロナの影響を受け、各所でいろいろな取り組みが行われています。
住宅ローンの支払いが心配な方はこのような機関も利用してみてはいかがでしょうか。
(参照:金融庁 「新型コロナウイルス感染症の影響で、住宅ローンなどの返済にお困りではありませんか?」)
(関連記事:「競売と任意売却の違いとは?正しく理解して売却」)
記事監修者 かながわ行政書士事務所 代表 池田 晴香
行政書士
かながわ行政書士事務所ホームページ:https://kanagawa-gyosei.com/
WEB制作会社に営業として勤務後、学生時代から就職後も続けていた音楽関係の仕事をきっかけに
ラジオパーソナリティー、ナレーション、朗読などの声の仕事を始める。 30代、行政書士の仕事をスタート。
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