中古住宅のインスペクションとは?買取でインスペクションなしで安心して売却する
あまり聞き慣れないかもしれませんが、不動産業界では近年「ホームインスペクション」の重要性が増しています。
本章ではインスペクションとはどのようなものか、費用面などと共に見ていきます。
【目次】
単に「インスペクション」と呼ばれることもありますが、どちらも同じで簡単にいうと住宅の健康診断を意味します。
中古住宅の流通や個別取引においてインスペクションは重要な地位を占めていますので、不動産取引に臨む売り主や買い主の方はこの機会に押さえておきましょう。
インスペクションとは?
新築物件の場合、新車と同じで設備などの劣化を気にすることは通常ありません。
しかし中古物件の場合、設備だけでなく建材や目に見えない部分の劣化状況が気になります。
買い手からすれば、素人には分からない部分に何らかの不具合があれば、後で面倒なことになります。
そこで専門家に住宅の状態をチェックしてもらい、安全性に問題ないか、雨漏りの心配はないかなどを調べてもらうと安心できます。
結果は診断報告書の形で確認できるようにすれば、買い手側も安心できますし、売り手側も安心材料としてアピールポイントに利用できます。
また、売主にとっては自身でも分からなかった故障や不具合を事前に知ることが出来るのでその内容をもとに売却をしたり後々のトラブルを未然に防ぐことが出来るようになります。
売買取引当事者双方が安心できるように、専門家に住宅を評価してもらうのが(ホーム)インスペクションというわけです。
インスペクションに関して国の基準も策定された
インスペクションに関しては、国土交通省が2013年に策定した「既存住宅インスペクション・ガイドライン」があります。
国が定めた一定の基準に従って運用されるため、業者によってインスペクションの質にばらつきが出ないように配慮されています。
ただし、インスペクションを行うかどうかは任意ですので、必ず実施しなければならないわけではありません。
現在、取引を仲介する不動産業者にはインスペクションについて売り主に説明することが義務付けられているので、売却の相談をする際に説明を受けることになります。
説明を聞いたうえで実際にインスペクションを実施するかどうか検討してください。
インスペクションは誰が行うのか
インスペクションは建築士などの住宅に関して詳しい者が行うようになります。
NPO法人の日本ホームインスペクターズ協会や一般社団法人住宅管理・ストック推進協会のホームインスペクターの資格試験を実施しています。
インスペクションは費用がかかる
費用はインスペクションを行う業者によって多少異なりますが、大体5万円~7万円くらいが相場です。
一般的なインスペクションでチェックする項目をざっと見てみましょう。
【構造的な耐力性、安全性に関係する個所】・・基礎や柱、壁、梁、床組、土台など
【雨漏りや水漏れに関係する個所】・・屋根や外壁、天井、内壁など
【配管関係】・・給水管や給湯管、排水管など
上記に加えて、床下や屋根裏などに検査員が体を入れて行うような労力が大きくなるオプション検査を加えると10万円を超えることもあります。
不動産を売却する際にインスペクションを実施する場合、基本的には売り主の費用負担で行われることが多いです。
売買契約の際にその費用を買い手に負担させて実質の求償とすることもできますが、契約当事者のパワーバランス上あまり現実的ではないでしょう。
なお、買い手サイドが希望すれば、売り主の許可を取ったうえで買い主が費用を払ってインスペクションを実施することも可能です。
仲介ではインスペクションの説明は義務
不動産会社が中古住宅を仲介する場合、売主と買主にインスペクションの説明をすることが義務付けられています。
この内容は説明の義務であって必ず実施するというものではありません。
売主にはインスペクションの実施を推進し、インスペクションを行う業者の紹介などを行い、買主にはインスペクションの実施の有無と実施していればその内容を重要事項説明の際に説明をする必要があります。
売主と買主の両者の利益を守り、トラブルを防ぐためにも仲介での取引の場合はインスペクションを利用するケースは増えてくるでしょう。
インスペクションは保証ではないことに注意
ホームインスペクションは基本的に目視で確認出来る箇所を行うようになる為、建物全体を完璧に確認出来るというわけではありません。
また、インスペクションでは住宅の瑕疵、不具合、欠陥を確認することは出来ますが保証があるということではありません。
この住宅の瑕疵、不具合、欠陥などの保証を考える場合は住宅の瑕疵保険などを利用する必要があるでしょう。
買取ならインスペクションなしでも取引が出来る
インスペクションは不動産取引当事者の安心感を高める役目を果たしますが、直接の費用負担は売り主が負うことが多いので、メリットはあるにしても抵抗を感じる方も多いでしょう。
この点、インスペクションは不動産を自分で評価することができない一般の買い手が安心できるようにするものですから、不動産業者が直接物件を買い取る場合はインスペクションの実施が無くても問題ないことが多いです。
もちろん実施している方が評価が高くなりますが、買取方式による売却は換価処分に時間がかからないなどのメリットもあるので、必要に応じて買取による売却も検討してみましょう。
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記事監修者 かながわ行政書士事務所 代表 池田 晴香
行政書士
かながわ行政書士事務所ホームページ:https://kanagawa-gyosei.com/
WEB制作会社に営業として勤務後、学生時代から就職後も続けていた音楽関係の仕事をきっかけに
ラジオパーソナリティー、ナレーション、朗読などの声の仕事を始める。 30代、行政書士の仕事をスタート。
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