リロケーションとは何か
不動産の活用に関する話題では色々な不動産用語が使われます。
この回では「リロケーション」という用語を取り上げますが、転勤などで引っ越しを予定されている方にはぜひ知っておいてほしいキーワードです。
【目次】
リロケーションとは?
リロケーションはそもそも「移住、移転、転勤」などを意味するワードですが、不動産の分野では少し意味合いが違う使い方をします。
不動産分野でいうリロケーションは、転勤などで一時的に自宅を利用できなくなったときに、その期間だけ空き家となる自宅を賃貸に出し、転勤等から戻ったらまた自分で使うというような、一定期間だけ自宅を貸し出す行為を指すワードです。
実際には、転勤等で遠くに引っ越すため、自身では物件管理や借主とのやり取りなどの実務ができないことから、不動産業者に業務を委託して行われることが多いです。
リロケーションが広まった背景
従来の日本の法律体系の中で、不動産の賃貸借をめぐっては立場が弱くなりがちな借主側を保護する姿勢が強く、貸主側の法的保護の面は弱いものがありました。
一旦相手に貸した物件は、借主が望む限りは特別な事情がなければ賃貸借契約を強制的に終了させることが難しく、貸主側が一時的な貸し出し望んでも、望む時期に確実に物件を手元に戻すことが難しかったのです。
ここに法改正が加えられ、一定期間経過後には賃貸借契約を確実に終了させ、貸主側の手に物件が戻るように借地借家法が改正されました。
「定期借家契約」の形態にすることで、例えば転勤で遠方にいる間だけ他人に自宅を貸し出し、転勤から戻った時にはオーナー自身がまた自宅として住めるようになったわけです。
リロケーションのメリット
ここではリロケーションのメリットを見てみましょう。
①空き家を無駄なく有効利用できる
転勤等で自宅を空き家にする場合、利用できなくても固定資産税などの税金がかかりますから、そのままではキャッシュフロー的にはマイナスの資産となってしまいます。
リロケーションができれば家賃収入が入るので、逆にプラスの資産として活躍してくれます。
(関連記事:『急に転勤の辞令が。自宅は賃貸と売却どちらが良いの?』)
②手元に戻る保証がある
転勤等から戻った後は、物件が貸主の手元に戻ることが約束されているので安心できます。
③物件が傷みにくい
空き家状態では建物の腐食スピードが格段に上がってしまいますが、賃貸に出すことで日常の手入れや湿気の開放などは賃借人がやってくれることになるので、物件が傷みにくくなります。
リロケーションのデメリット
次に、リロケーションのデメリット面を見てみましょう。
①委託費用がかかる
リロケーションは転勤等で自宅から離れることになりますから、自分で物件管理等ができないため、業者に委託することになります。
委託費として賃貸にかかる家賃の数パーセント~10%程度の手数料が必要になるので、経費がかかり家賃利益の減算になります。
②家賃を多少下げなければならない
定期借家契約では、借主は約束した期間が過ぎれば物件を貸主に返さなければなりません。
貸主にとっては有利ですが、逆に借主にとっては利用に制限が出るので、この点を考慮して通常の賃貸借ケースの相場よりも若干値を下げて契約となるのが普通です。
必ず値下げしなければならないわけではありませんが、実務では概ね相場の1割~3割程度の値下げが必要になることが多いです。
③あまりの短期間では借り手が付かない
市場にはウィークリーマンションやマンスリーマンションなど短期間の賃借物件としてライバルの存在があります。
そのため、概ね半年以下の短期間の契約では借り手が付かないことが多いので、短期の転勤などのケースでは利用できないこともあります。
(関連記事:『親の介護で一時的に実家に帰る場合、空き家になる自宅をどうする?』)
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記事監修者 かながわ行政書士事務所 代表 池田 晴香
行政書士
かながわ行政書士事務所ホームページ:https://kanagawa-gyosei.com/
WEB制作会社に営業として勤務後、学生時代から就職後も続けていた音楽関係の仕事をきっかけに
ラジオパーソナリティー、ナレーション、朗読などの声の仕事を始める。 30代、行政書士の仕事をスタート。
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