コロナで任意売却が増える?リスクを知って早期対策
マイホームの購入は大きな資金が必要なため住宅ローンを利用する人も多いと思います。
購入面では、多額の資金を用意できなくても分割で家が買えるので便利なものですが、売却が必要になった場合にローンの残債が大きなネックになることもあります。
【目次】
特に住宅ローンの支払いが苦しくなってきた時は、売るに売れないという困った事態になることも多いので要注意です。
その場合でも「任意売却」という特殊な手法を利用して売る道もあり、このコロナ禍で任意売却が増えることも予想されます。
本章ではこの点について見ていきます。
コロナで住宅ローンが払えなくなる人が増えている
住宅ローンを扱う住宅金融支援機構はすでにコロナの影響でローンの支払いに関する相談が急増していることをアナウンスしていますが、各民間金融機関でも債務者からの相談件数は増加しているものと思われます。
実際に住宅金融支援機構に寄せられる相談件数は2020年(令和2年)2月以降増えているという見解となっています。
相談の内容は「コロナの影響で入金が出来ないので待ってもらえるか」、「コロナウイルスの影響で収入が不安定なため、返済期間を延長出来るか」などの相談が増えている傾向です。
(参照:住宅金融公庫「新型コロナウイルス感染症の影響で~」)
現状ではコロナ終息の見通しは立っていませんし、経済が劇的に好転する要因も考えられません。
全体としては、経済の悪化から住宅ローン債務について問題を抱える人が増加する方向に向かうと考えるのが自然です。
住宅ローンを延滞することでリスクもある
収入が安定しない状況に陥る場合、生活費が優先されることが多くなります。
住居費が一番高くなる為、延滞してしまうケースは多いようです。
しかし、住宅ローンを延滞し続けてしまうとリスクが発生してきます。
物件を購入する際に住宅ローンを組まれている方は、住宅ローンの金利優遇制度を利用した金利が適用されている方が多いのではないでしょうか。
住宅ローンを延滞することによりこの金利の優遇が適用されなくなり返済額が増えてしまうことがあります。
返済額が増えてしまえば、現状よりもよりきつい状況となってしまいます。
こういったケースを少なくする為にも借入をしている金融機関へ返済額や返済年数などの相談を早い段階でしておくのが良いでしょう。
コロナ禍で柔軟に対応している金融機関もありますのでまず相談してみましょう。
また、滞納が続くことによって売却を考えなければならないリスクが出てきます。
通常の売却であれば良いですが、任意売却や競売といったになる可能性もあります。
次の章では売却をする場合に知っておかなければならない内容を見ていきます。
オーバーローンでは売るに売れない
ローンの支払いが苦しくなってきた時、売却金額の方がローンの残債より大きければ、売却代金でローンを完済できるので問題ありません。
しかし、売却代金でローンを完済することができない場合、抵当権を外すことができないため売却自体ができないという問題が生じます。
多少のオーバーローンであれば自己資金を追加して何とか完済できることもありますが、それができなければマイホームは最終的に競売にかけられ、市場価格よりもかなり安い金額で買いたたかれることになります。
この最悪の事態を避けるため、コロナで住宅ローン問題を抱える層の多くが任意売却を検討すると予想されます。
任意売却はどういうものか?
通常、オーバーローン状態ではローンを完済できないことからローン債権者に抵当権を外してもらうことができず、売りたくても売れないという状態になります。
最終的に競売にかけて債権を回収することもできますが、競売では売却代金がかなり安くなってしまうので、満足のいく債権回収につながらない可能性もあります。
そこで債権者と交渉し、オーバーローンでも特別に抵当権を外してもらい、市場の一般客を相手に売却を進められるのが任意売却です。
一般市場でできるだけ高値で売り抜けることができれば、債権回収の原資をより多く確保することにつながり、債権者にとっても悪い話ではありません。
しかし任意売却が成功する保証はなく、もしかしたら市場での売却に失敗してしまう恐れもあります。
そのため金融機関等の債権者が必ず任意売却に応じるとは限らず、認めてもらうには任意売却に強い不動産業者を味方につけて根気強く交渉する必要があります。
任意売却は時間との勝負になるので、実行する場合は迅速に動かなければいけません。
任意売却を考えるタイミングは?
住宅ローンの滞納が始まると、数か月後には分割弁済が認められなくなり、期限の利益を喪失した旨の通知が届きます。
一括弁済ができないと、次に保証会社による代位弁済が行われます。
その後は銀行等ではなく保証会社が債権者になるので、こちらに弁済をしていくことになります。
放置すればそのまま競売に進んでしまうことになりますが、競売が間近になった時点では時間的に余裕がなく、結局任意売却に失敗する恐れがあります。
債権者との交渉に時間がかかることから、任意売却は金融機関から期限の利益喪失の通知が来る前の段階で動き始めるようにしたいものです。
できればもっと早く、まだ滞納はしていないが近いうちに支払いが難しくなると分かった時点で任意売却に強い不動産業者に相談するのが理想です。
自身で判断がつくうちに売却を検討する
任意売却や競売となってしまった場合には自身で売り出す価格を決めることが出来なくなります。
また、債権者が同意する金額でなければ売ることが出来なくなる為、不動産の買取りなどの選択肢がない状況となります。
早い段階から準備をすることが出来れば、通常の売却は不動産買取も視野に入れることが出来るので、現在住宅ローンの支払いに不安がある方は早めに動かれることをおすすめいたします。
(関連記事:『任意売却と競売落札の違い』)
(関連記事:『競売と任意売却の違いとは?正しく理解して売却』)
記事監修者 かながわ行政書士事務所 代表 池田 晴香
行政書士
かながわ行政書士事務所ホームページ:https://kanagawa-gyosei.com/
WEB制作会社に営業として勤務後、学生時代から就職後も続けていた音楽関係の仕事をきっかけに
ラジオパーソナリティー、ナレーション、朗読などの声の仕事を始める。 30代、行政書士の仕事をスタート。
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