マイホームを売って税金がかかる!?利用できる長期譲渡所得の軽減税率
不動産を売って利益が出る場合、その利益は不動産譲渡所得税の課税対象になります。
また一定の条件を満たす場合に使える優遇策もあります。
この回では不動産譲渡所得税の軽減税率の特例について解説します。
原則の税率を確認
先に原則の税率を押さえますが、原則税率は売却した不動産の所有期間によって変わります。
不動産を譲渡した年の1月1日において、所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得として20%、5年以下なら短期譲渡所得として39%です。
この所有期間がさらに10年を超えている場合に利用できるのが、長期譲渡所得にかかる軽減税率の特例です。
この10年の計算について、対象不動産が相続で入手した物件であった場合、被相続人が所有していた期間を合算することができます。
被相続人が生前に所有していた期間と、相続後に自身で所有していた期間を合算することができるので、多くの場合
10年を超える期間になるでしょう。
特例を適用した税率は?
この特例を適用する場合、不動産譲渡所得を6千万円以下の部分と、6千万円を超える部分の二つにわけます。
その際の注意点として、本特例は別章で解説した「居住用不動産にかかる3000万円の特別控除」と併用できるので、譲渡所得は3000万円を控除計算した後の数字を用います。
控除後に残った譲渡所得のうち6千万円を超える部分についての税率は長期譲渡所得として変わらず20%ですが、6千万円以下の部分については14%に軽減されます。
(3000万円の特別控除の内容はこちら 『居住用財産の3000万円特別控除』)
軽減税率の特例にかかる利用条件は?
本特例は一定のマイホーム(居住用不動産)が対象で、売却した年の翌年2月16日~3月15日までの間に確定申告をすることが最低条件です。
その他にも以下のような条件をすべて満たさなければなりません。
①対象不動産は国内にある自己居住用の不動産であること
②敷地だけでは原則非適応で、家屋もしくは家屋とともに敷地を売ること
③家屋を取り壊した場合には、以下の要件をすべて満たして敷地を売ること
a取り壊した家屋と敷地について、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において
所有期間が10年を超えること
b敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ住まなくなった日から
3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
c家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、敷地を貸駐車場など他の用途に使用していないこと
なお災害により家屋が滅失した場合は、災害による被害により住めなくなってから3年を経過する日の属する年の3月31日までに敷地を売る必要があります。
④現住物件でない場合は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
⑤譲渡した年の前年および前々年に本特例を利用していないこと
⑥譲渡した不動産について、マイホームの買い替え特例など併用不可の特例を受けていないこと(3000万円の特別控除は併用可能)
⑦親子や夫婦、生計を一にする親族、内縁関係者など特別な関係にある者に譲渡したものではないこと
特例利用にかかる期限に注意
本特例は確定申告が必要なのでその期限を守る必要がありますが、特例の要件にも一定の期限が関係してくることに注意が必要です。
一つは現住物件でない場合の住まなくなってからの期限要件、二つ目は家屋を取り壊した場合または災害により家屋が滅失した場合の譲渡契約締結期限と実際の譲渡期限です。
転勤や離婚等を契機にして引っ越しをした場合、非居住用物件となるので、軽減税率の適用期限のカウントがスタートすることになります。
売るかどうか迷っていたり、条件が整わずに売れない期間が長引くと、特例を利用できなくなってしまうので注意してください。
記事監修者 かながわ行政書士事務所 代表 池田 晴香
行政書士
かながわ行政書士事務所ホームページ:https://kanagawa-gyosei.com/
WEB制作会社に営業として勤務後、学生時代から就職後も続けていた音楽関係の仕事をきっかけに
ラジオパーソナリティー、ナレーション、朗読などの声の仕事を始める。 30代、行政書士の仕事をスタート。
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