タワーマンション節税とは?税制改正の影響とは
【目次】
タワーマンション節税とは?
タワーマンション節税とは、タワマン節税と略して呼ばれることがあります。タワーマンション特有の評価方法を利用して、相続税を節税する方法です。税制改正前には、次の2つの節税効果が期待されてきました。
1. 相続税評価額の低減
タワーマンションは、高層階ほど眺望が良く、購入価格も高くなります。しかし、相続税評価額は、固定資産税評価額に基づいて算定されるため、購入価格よりも低くなります。特に、高層階のタワーマンションは、評価額が低く算定される傾向があり、節税効果が大きくなります。
2. 小規模宅地等の特例の適用
小規模宅地等の特例とは、一定面積以下の土地は、相続税評価額を80%減額する特例です。タワーマンションの場合、1戸当たりの土地面積が小さいため、この特例が適用される可能性があります。
タワーマンション節税の改正内容と影響
2023年12月20日に行われた税制改正により、タワーマンション節税は大きく変わりました。改正の主な内容は次のとおりです。
1. 評価方法の見直し
タワーマンションは、高層階ほど眺望が良く、購入価格も高くなります。しかし、相続税評価額は、固定資産税評価額に基づいて算定されるため、購入価格よりも低くなります。この評価方法の差を利用して節税を行うのが、タワーマンション節税の手法でした。
今回の改正では、この評価方法の見直しが行われました。具体的には、次の2つの指標が導入されました。
- 乖離率:市場価格と相続税評価額の乖離の程度を示す指標
- 評価水準:全国の都道府県における相続税評価額の平均的な水準を示す指標
これらの指標を導入することで、タワーマンションの評価額が市場価格に近づくように調整されます。
2. 小規模宅地等の特例の適用要件の厳格化
小規模宅地等の特例とは、一定面積以下の土地は、相続税評価額を80%減額する特例です。タワーマンションの場合、1戸当たりの土地面積が小さいため、この特例が適用される可能性がありました。
今回の改正では、この特例の適用要件が厳格化されました。具体的には、次の要件が追加されました。
- 土地の形状が整っていること
- 道路に接していること
- 200㎡を超えないこと
これらの要件を満たさない土地は、特例の適用を受けることができなくなります。
改正後の影響
今回の改正により、タワーマンション節税の効果は大きく縮小されます。特に、高層階のタワーマンションは、評価額が引き上げられるため、節税効果が低くなります。
また、小規模宅地等の特例の適用要件が厳格化されたことにより、タワーマンションがこの特例の適用を受ける可能性も低くなります。
今後の見通し
今回の改正により、タワーマンション節税は以前よりも利用しにくくなりました。しかし、タワーマンションは依然として相続税対策の一つとして有効な手段です。
今後は、改正後の状況を踏まえ、新たな節税対策が検討されることが予想されます。