【2021年税制改正】令和3年度の土地の固定資産税等の増額据え置きについて
本記事では2021年税制改にかかる土地の固定資産税等の増額据え置きに関する改正点についてポイント解説を行います。
固定資産税の据え置き措置
本措置はコロナの影響で国民の生活負担が増していることから、固定資産税の負担を軽減することで税制面から国民生活を支える目的があります。従来、固定資産税は3年に一度の評価替えが入り、これによって適切な税額が維持される仕組みになっています。
2021年(令和3年)度は評価替えの年となっており、固定資産税が増額される可能性がありましたが、今回の措置ではコロナの影響を考慮し、本来増税となる土地について税負担が上がらないように調整されます。
改正ポイントは以下の通りです。
①課税標準額が上がる場合の据え置き
評価替えにより課税標準額が上がる場合、令和3年に限り令和2年度と同額に据え置くことで、税負担の上昇を避ける措置が取られます。評価替えによって課税標準額が下がる場合は特に調整は行いません。
なお上記の据え置き措置は課税標準額にかかるもので、固定資産税評価額の評価替え自体は行われることに留意します。固定資産税評価額に特例等の調整を加えたうえで算出されるのが課税標準で、住宅用土地の場合は固定資産税評価額よりも課税標準額が小さくなるのが普通です。登記をする際の登録免許税などは固定資産税評価額を用いて計算するので、登記の際には課税標準の据え置き措置のメリットは反映されないことになります。
②負担調整措置の延長適用
従来、固定資産税の負担が急激に増大しないように一定の負担調整措置が取られています。この措置が来年以降も引き続き適用され、令和5年まで継続されることになりました。負担調整は負担水準によって調整がされており、負担水準が高い土地は税負担を引き下げたり、据え置かれたり負担水準が低い土地については段階的に税負担を引き上げていく仕組みとなっています。
負担水準の計算については以下の計算方法で確認することが出来ます。
【負担水準の計算方法】
負担水準(%)=令和2年度課税標準額等÷令和3年度価格等×100
また、令和3年度に限り課税標準額は以下のように負担調整が行われます。
・住宅用地の場合
負担水準 | 令和3年度の課税標準額 |
100%以上 | 本則課税標準額(価格×1/6又は1/3) |
100%未満 | 前年度(令和2年度)課税標準額に据え置き |
・商業地等の場合
負担水準 | 令和3年度の課税標準額 |
70%超 | 価格×70% |
70%以下 | 前年度(令和2年度)課税標準額に据え置き |
税額が上がるケースもある
前年度と同様に土地を利用している場合は負担調整措置が適用されますが、以下のような場合には税額が上がることもあるので注意が必要です。
・地積の変更
土地の合筆などで土地の面積などが増える場合には課税対象地が増える為、税額が上がることがあります。
・土地の用途の変更
住宅用に利用していた土地を駐車場など他の用途に変更した場合、住宅用地の特例が適用されない為、税額が上がります。
(参照:東京都主税局「令和3年度における土地の固定資産税・都市計画税の据え置き措置について」)
まとめ
新型コロナウイルスの影響を受けてさまざまな税制の改正が行われています。令和3年度では固定資産税の軽減を受けることが出来ますが、状況によっては支払いが厳しくなるケースもあります。
もし長期的に支払いが厳しくなる場合には、売却も検討したほうが良いかもしれません。いずれにしても不動産で不安に感じる部分がある場合には不動産会社へ相談してみると良いでしょう。
【関連記事】
記事監修者 かながわ行政書士事務所 代表 池田 晴香
行政書士
かながわ行政書士事務所ホームページ:https://kanagawa-gyosei.com/
WEB制作会社に営業として勤務後、学生時代から就職後も続けていた音楽関係の仕事をきっかけに
ラジオパーソナリティー、ナレーション、朗読などの声の仕事を始める。 30代、行政書士の仕事をスタート。
→センチュリー21の編集ポリシー