放置しておくと危険!相続税の仕組みを不動産のプロがお教えします
【目次】
不動産相続の流れ
相続税についてご説明する前に、まずは相続が発生した後の流れをご紹介します。 不動産の相続の流れは、以下のような流れが一般的です。- 相続の発生
- 遺言書の確認
- 相続人の確定
- 遺産分割協議
- 相続登記
相続人を決めよう|遺言と遺産分割協議
https://www.shutterstock.com/
遺言による相続人の指定
https://www.shutterstock.com/
遺留分とは? 「遺留分」は各法定相続人に定められた、法定相続人が遺産の一定分を取得することを保証する制度です。 この「遺留分」に関しては、遺言書でも相続人を指定することが出来ません。
遺産分割協議による相続人の指定
https://www.shutterstock.com/
- 相続人全員が参加して行う
- 協議の結果は「遺産分割協議書」として書類にする
- 未成年者の相続人がいる場合、代理人を立てて参加する
- 金融機関の預金口座の手続き
- 株券や車の名義変更手続き
- 不動産の名義変更手続き
- 裁判の証拠として利用出来る
プロが教える!豆知識 遺産分割協議書を作るにあたって 遺産分割協議書の雛型は、インターネットなどで比較的簡単に入手することが出来ます。 しかしどの遺産分割協議書を使っても良いという訳ではなく、それぞれの場合に適した雛型がありますので、使用する際はご注意ください。 遺産分割協議書とは~相続後の争い回避に効果的!書類の目的と作成方法を徹底解説|遺産相続弁護士相談広場
相続登記
https://www.shutterstock.com/
相続登記の重要性
https://www.shutterstock.com/
- 相続した不動産を売ることが出来ない
- 相続した不動産を担保として融資を受けることが出来ない
- 相続人が亡くなり、子供が相続した場合、亡くなった相続人の立場を引き継ぐため、合意を取るのに手間がかかる、集める書類がより複雑になる
各税の納付
https://www.shutterstock.com/
登録免許税
登録免許税とは、不動産や会社などの登記や登録に対して課税される税金です。 不動産の場合、不動産の価格に一定の税率をかけて税額を求めます。 登録免許税は登記や登録に対して発生する税金なので、原則相続登記を行おうとするすべての人が納付する必要があります。 相続による所有権の移転登記の場合、税額は土地・建物共に0.4%となります。 例)土地建物の相続登記の場合 土地 固定資産税評価額 7,000,000円 建物 固定資産税評価額 7,500,000円 7,000,000円×0.4% + 7,500,000円×0.4% = 58,000円(登録免許税)固定資産税
固定資産税は毎年1月1日の時点で土地や建物などの固定資産を所有している人が納める税金です。 所有者が亡くなった場合にはその相続人が義務を継承します。相続人が複数いる場合は、一人を代表者と定めて納税通知書等の送付先を指定することができます。 固定資産税は固定資産税評価額と税率を掛け合わせることによって求めることが出来ます。固定資産税評価額とは? 固定資産税の基準となる価格を「固定資産税評価額」といいます。 固定資産税評価額が大体いくらになるかは、不動産の購入金額の70%を求めることで把握できます。 しかし固定資産税評価額は地価や建築物の築年数によっても大きく変わるので注意が必要です。 また固定資産税評価額は地価の変動に伴い、三年に一度評価額が見直されます。
所得税
所得税は、個人の所得(収入から必要経費を差し引いた利益のこと)に対して課せられる税金のこと。 不動産を相続したときに、所得税が発生するのではないかと心配される人がいらっしゃいますが、 所得税は、相続によって取得した不動産には原則発生しません。 しかし、中には所得税の納税が必要となる場合もあります。 それは、賃貸物件を相続した場合。 相続した不動産が賃貸物件だった場合は、毎年不動産所得が発生するため、税務署に確定申告を行わなくてはなりません。 確定申告の際に経済的負担が発生することになります。「不動産所得」とは? 不動産の貸し付けによる不動産収入がある場合に、収入から必要経費を差し引いた金額を「不動産所得」といいます。 不動産を賃貸に出していたり、売却する場合は不動産収入が発生するので、それに伴い不動産所得が発生します。 単に相続によって不動産を取得する場合には、不動産収入、不動産所得は発生しないので 所得税も発生しないということになります。
また、相続後に不動産を売却する場合にも所得税が発生します。 不動産を売却する際に発生する税に関しては「相続税を支払った分不動産売却後に払う譲渡税が減る」の項でも記載しています。相続税
相続税は、法定相続や指定相続によって不動産を取得したときに、取得した不動産に対して課せられる税金のことです。 相続税は、取得した遺産の総額が一定額を超えると発生します。 では、相続税は遺産の総額がいくらい以上だと発生するのでしょうか? 相続税が発生するのは、遺産の総額が「基礎控除額」より大きいときです。 遺産の総額から「基礎控除額」を差し引いた金額に対し相続税が課せられます。基礎控除額 3000万×相続人の数×600万 ※平成27年1月1日以後の相続について基礎控除額や税率等が変更されました。
つまり、基礎控除額の範囲内なら相続税は発生しないということですね。 上の計算式からわかる通り、相続人が多ければ多いほど控除額は増える仕組みになっています。不動産取得税
不動産取得税は、原則相続によって不動産を取得した場合には支払う必要のない税金です。 本来、不動産所得税は不動産を所有することに対して、登記の有無に関わらず課せられる税金です。 たとえ一日でも不動産を所有した場合は、不動産取得税を支払わなければいけません。 しかし例外として、相続によって不動産を取得した場合は不動産取得税を払う義務が発生しないんです。 ですが、中には例外の例外もあります。 それは、遺言書によって相続人以外が不動産を相続する場合です。頭に入れておきましょう。相続した不動産は放置しておくと危険
https://www.shutterstock.com/
物件を放置すると評価額が下がって売却しにくくなる
https://www.shutterstock.com/
固定資産税の支払いや管理費ばかりかさんでいく
また、相続した不動産を放置していても、固定資産税の支払い義務は発生します。 誰も住んでいない状態で長年放置することにより建築物が痛み、修繕費、管理費や解体費用が発生するなど、経済的に負担になってしまうことがあります。相続税の特例の効力が切れてしまう可能性がある
実は、不動産を売却する際に、相続税をしっかり納税していれば売却時に発生する譲渡税を減額することが出来るんです。 しかし相続税を支払わなければ、相続税の特例は適用されません。 この相続税の特例については次項で詳しくご説明します。不動産を売るなら相続税は払っておいたほうが後々得
https://www.shutterstock.com/
相続税を支払った分不動産売却後に払う譲渡税が減る
不動産を売却する際、通常譲渡税といわれる税金が発生します。 不動産を売却することによって生じる所得は譲渡所得といわれ、譲渡所得に対して「所得税」「住民税」といったいわゆる譲渡税が発生するのです。 不動産を売却する際に相続税をしっかり支払っていれば、この譲渡税を減らすことが出来ます。この仕組みのことを「所得費加算の特例」といいます。 所得費加算の特例が適用された場合、不動産を売ったときに得られる譲渡所得を計算する際に、支払った相続税の一部を「所得費」に加算し譲渡所得の金額を軽減することが出来ます。 「所得費」とは、不動産を購入した当時の金額のことです。 所得費に相続税を加算することによって譲渡所得金額が減り、譲渡所得金額が減ることによって譲渡税も減額されるという仕組みです。 この「所得費加算の特例」を受けるためには、以下の条件を満たしている必要があります。- 相続、または遺贈によって取得した財産である
- 相続した際に、相続税が課税され、納税している
- 相続開始の翌日から3年10か月以内に譲渡している
相続税を払う場合は誰に依頼する?
https://www.shutterstock.com/
- 相続には「法定相続」と「指定相続」の2パターンがある
- 「法定相続」などで相続人が複数いる場合は「遺産分割協議」を行う必要がある
- 不動産を相続したら、「相続登記」を行わなければならない
- 「相続登記」を行わずに相続した不動産を放置すると、評価額が下がったり、管理費が嵩んだりといったデメリットが多く発生する
記事監修者 かながわ行政書士事務所 代表 池田 晴香 行政書士 かながわ行政書士事務所ホームページ:https://kanagawa-gyosei.com/ WEB制作会社に営業として勤務後、学生時代から就職後も続けていた音楽関係の仕事をきっかけに ラジオパーソナリティー、ナレーション、朗読などの声の仕事を始める。 30代、行政書士の仕事をスタート。 →センチュリー21アイワハウスの編集ポリシー