マンションを売りたい人へ!不動産のプロが教える売却と買取の違いやメリットとデメリット
「空室ばかりなので売りたい……」「物件を売りたいけれど時間がかかって大変そう……」なんて迷っている間にも赤字がどんどん膨らんではいませんか?
けれど実際売る為にはどうしたらいいのか、分からないことも多いと思います。
【目次】
そこで今回は、初めて不動産を売る方に向けて、不動産のプロがマンションや家を売る際の「売却と買取の違い」やそれぞれの「メリットとデメリット」を詳しくご紹介します。
マンションや家を売りたいなら知っておくべき不動産の売り方【買取と売却】
マンションや家などの不動産を売る方法は、買取と売却の2つがあります。
「売却」とは、マンションや家を売りたい人が、不動産業者に依頼して買い手を見つけてもらい、物件を売ること。
「買取」とは、マンションや家を売りたい人が、直接不動産業者に物件を売ることです。
このように、不動産の売り方にも種類があることはあまり知られていません。
マンションや家などの物件を売るとなると、不動産会社に依頼をして代わりに不動産を売り出してもらう……といったいわゆる「売却」の流れをイメージする方も多いはず。
しかし不動産の売り方には「買取」というものもあるんです。
それでは、その「売却」と「買取」の違いとは何でしょうか?それぞれの違いを4つご紹介していきます。
マンションや家を売りたいと思っているあなたには、どちらの売り方が合うのでしょうか?しっかりと事前確認してくださいね。
不動産のプロが教える買取と売却の4つの違い
売却と買取、「不動産業者に仲介に入ってもらうか直接売るかだけの違いなのか」と、理解したつもりになるのはちょっと待って!
売却と買取のどちらを選ぶかによって、実際の手順や不動産が売れるまでの期間なども全く異なります。
実際にマンションや家の売買取引をするときに考えることになる、絶対に外せない4つの違いとは?
違いその1|物件が売れるまでの時間
売却と買取、それぞれにかかる時間は、比べてみると驚くほど違います。
売却の場合
売却には、通常3ヵ月から半年程時間がかかることが多いです。
まず不動産業者が広報活動や内覧を1~2ヶ月行い、買い手が見つかってから物件の引き渡しまで更に1ヶ月程度時間がかかります。
ただごく稀に、広報活動や内覧に1年以上もかかる場合があります。
考えられる理由は様々で、
- 不動産業者が相場よりも大幅に高額な金額を提示している
- 物件の立地条件があまりも悪い
- 物件の日当たりが悪い
- 老朽具合が酷い
などが挙げられます。
広報活動や内覧の期間を長引かせないためにも、不動産仲介業者は、3ヶ月を目安に不動産売買契約を締結させることを想定した売却査定価格を提示することが多いです。
不動産のプロが教える!豆知識
買い手が見つかってから物件の引き渡しまでは、1ヶ月かかるとお伝えしました。これは、買い手が住宅ローンを組むための時間です。
買い手に銀行からの融資が下りなかったり、書類不備などの問題が起きれば、1ヶ月以上かかってしまう可能性もあります。
買取の場合
一方、買取にかかる時間は 最短で1日、長くても1ヶ月となっています。
買取の場合は買い手が不動産業者ですから、物件を売りたい人は直接買い手の元へ行き売買をする為、売却のように長い間広報活動を行う必要がありません。
加えて、買取は買い手が不動産業者という「企業」です。
すぐにでも売主の口座に物件価格を振り込めるだけの財力があるので、住宅ローンを組む必要がなくすぐにでも物件の引き渡しが完了するわけです。
不動産売却と買取、それぞれの売買の流れ
こちらが不動産の売却と買取のそれぞれの流れを記した表です。
売却の流れ | 買取の流れ |
---|---|
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|
当事者 売主・不動産仲介業者・買い手 | 当事者 売主・不動産業者 |
売却と買取、それぞれの流れをより詳しく知りたい方は【事前に知ってトラブルを防ごう! 不動産売買の流れと注意点】をご覧になられてください。
違いその2|買主と契約後の破談のリスク
売却と買取では、売主が買い手に対して負う責任も違います。
不動産を売るにあたって、ここは確実に事前に理解をしておきたいところ。
売却の場合
売却においては、買主が一般個人になることが基本的には多いです。
個人の買い手は、物件という大きな買い物には慣れていないので、必要書類を揃えるにも時間がかかれば、住宅ローンを組むのにも時間がかかります。
ただ時間がかかるだけで済めばまだいいのですが、最も怖いリスクが、買い手のローン解約。
どんなに購入意思のある買い手でも、銀行から融資が受けられなければ物件を購入することができません。
そうなった場合、不動産業者はまた1から広報活動を始めるということになります。
買取の場合
一方、買取は買い手が普段から不動産を取り扱う不動産のプロとなります。
不動産業者との取引では、売主の様々な事情に対応したスケジュールで進めることが可能です。
また、ローン解約による契約解除などの不測の事態の発生リスクも低く、想定した売却スケジュールから大きく変動することがないので、より安心・安全に不動産の売却が可能です。
違いその3|不動産につく売値
売却と買取では、物件が売れる値段に差がでてきます。
ここを知らずに不動産を売ってしまい、後から「失敗した……」とならないように、ポイントを押さえておきましょう。
売却の場合
売却の場合、不動産業者が広告などによる宣伝によって広く集客を行うため、多くの場合物件を不動産市場の相場価格で売ることができます。
しかしながらその分、不動産業者に支払う仲介手数料が発生します。
手数料の上限は、一般に下記のように法律で条件が決められています。
仲介手数料上限額計算式:
(売買価格(税抜)×3%+6万円※)×消費税1.1=仲介手数料上限額
例えば1,000万円の物件であれば39.6万円、3,000万円の物件であれば105.6万円が上限額と言うような計算となります。
不動産のプロが教える!豆知識
大抵の不動産仲介業者はこの上限額いっぱいまで仲介手数料を請求することが多いですが、都市部では不動産業者同士の競争が激しいので、他県よりも比較的安く設定されています。
手数料について、もっと知りたい方は【家を売るのにお金がかかる!?損しないために不動産売買の手数料について知ろう】により詳しい情報が記載されています。
買取の場合
買取の場合は、不動産業者が再販のために物件の修繕を行うことを見越して物件を購入するので、一般の不動産市場の相場価格よりも安くなるケースが多いです。
しかし、買取には仲介手数料が一切かからないという利点もあります。
買取は、直接不動産業者という買い手に物件を売り込むというシステムなので、広告費用や仲介がそもそも必要ないですからね。
続いてご説明する「瑕疵担保責任」も踏まえ、最終的に売却と買取、どちらのほうが手元に残るお金が多いのか、ご自身の物件の状況に応じて予測を立ててみましょう。
違いその4|売主が負う契約不適合責任の有無
瑕疵担保責任は2020年4月より「契約不適合責任」へ変更となっています。
詳細は下記よりご覧いただけます。
契約書上で定められた期間の間に瑕疵が見つかった場合、売主は買主に賠償金を支払わなければなりません。
馴染みのない単語ですが、意外と内容は難しくありませんのでご安心を。
瑕疵担保責任についての情報は【瑕疵担保責任について、不動産のプロが疑問を解決!土地は?期間は?】をご覧になられてください。
不動産のプロが教える!豆知識
そもそも「瑕疵」とは、きずや欠点のことを指します。
不動産売買においての瑕疵とは、主にシロアリ被害、配給管の故障、家屋の傾きなどが挙げられます。
売却の場合
売却という方法をとると、殆どの場合売主に瑕疵担保責任が課されます。
瑕疵の度合いにもよりますが、売主が負う賠償額は概ね100万円程度から、高いものだと900万円かかることも!
まれに、中古マンションなどの物件においては売却であっても、売主の瑕疵担保責任をとらなくてもいい、要するに瑕疵担保免責(かしたんぽめんせき)となっている契約も存在します。
しかし、買い手にしてみれば問題が起こっても補償してくれない物件を買うのはリスクなので、瑕疵担保免責の物件は売買契約の際に揉めることもあります。
買取の場合
買取であれば売主の瑕疵担保責任は免除されます。
不動産業者は最初から物件をリフォームする目的で不動産を買い取っているので、そもそも瑕疵担保は必要ありません。
不動産売却と買取はどっちが正解?それぞれのメリットとデメリット
売却と買取の違いについて、何となく理解していただけましたでしょうか。
それぞれの違いを踏まえた上で、売買方法のメリットとデメリットをお伝えします。
売却のメリット|買取よりも高く売れる場合が多い
売却の一番のメリットであり魅力は、ずばり、買取と比べて比較的高く売れるということでしょう。
例えば新築の家を買ったばかりなのにすぐに引っ越すことになってしまった……なんて方は、なるべく高く家を買って引っ越し費用にあてたいところですよね。
仲介を依頼した不動産業者の広報や営業が上手であれば、相場より高く売れる可能性も!
物件のどこに魅力を感じるかは買い手によって違います。
例えば、駅から遠く一見立地条件の悪い物件でも「小学校の近くに住みたい」といった層から人気を集め高値で売れる、といったケースもあります。
「時間や手間がかかってもいいから1円でも高く売りたい!」方は、売却という方法をとるのがおすすめ!
不動産会社のプロの広報力は、最大の強みです。
売却のデメリット1|手間と時間がかかる
物件が高値で売れるのはうれしいけれど、売却はとにかく手間と時間がかかります。
例えば、空室ばかりのマンションを収益物件として所有している人は、自分のマンションに見切りをつけ、テナントを探すよりも売却しようと思っても、最低3ヶ月程度は空室の状態のままその物件を抱えなければならないのです。
持ち続ける限りは、固定資産税や維持費を払わなければなりません。
「急いで現金化したい」「築年数も随分と経過しているから高値では売れないかも」そういった方にとっては、いつ売れるか分からない不動産を「売却」するのは少し違うのかもしれませんね。
売却のデメリット2|契約不適合責任が問われる
売却後も、物件に問題があれば売主に契約不適合責任が問われるのも大きなデメリットかもしれません。
築40年以上も経ったようなマンションや家を持っていたとします。どんなに綺麗に使っていたとしても、どこかしらに問題があったりするもの。
そのまま売っても、後々大きな問題が見つかり賠償金を求められ、結局物件を売ったお金で修理をさせられた……なんてことも起こりうるのです。
続いては、不動産買取のメリットとデメリットをお伝えします。
買取のメリット1|現金化が断然早い
買取のメリットのまず1つ目は、現金化までがとてもスピーディだということ。
売却に比べ、買取は契約締結までの時間が圧倒的に短く、最短でたった1日しかかからないという大きなメリットがあります。
買取のメリット2|どんな訳あり物件でも買い取ってくれる
築40年以上、ゴミ屋敷などの訳あり物件、マンション1棟ごと……そのような個人相手ではなかなか買い取ってもらえないような物件も、不動産業者なら買い取ってくれます。
不動産会社は、再販のために物件のリフォームを前提として購入することも非常に多いです。
「まさか売れないと思っていた……」そんな物件が売れるケースは、ほぼこの買取と思っていただいて大丈夫でしょう。
買取のメリット3|周りに知られずに物件を売ることが出来る
買取の場合はインターネット媒体への掲載、新聞の折り込みチラシの配布などの各種広告媒体を通じての広告活動が一切ないため、近所の人などに知られる可能性を限りなく低くすることができます。
まだその家に住んでいる状態で売却を選んだ場合は、内覧が入るたびに掃除をしたり、内覧者の対応をしたりを負担におもわれる方も多いです。
プライバシーを何よりも大切にしたい、そんな方は買取の方が安心です。
買取のメリット4|仲介手数料がかからない
不動産会社に直接売るので、仲介手数料が一切かからないのは魅力ですよね。
買取のデメリット|売却の方が高く売れる可能性がある
買取のデメリットは、物件につく売値が売却よりも低いことが多いということでしょう。
なぜなら、買取の場合は不動産業者が負う物件の瑕疵のリスク、リフォーム代、様々な事業経営費を見越した売値がつきます。
その分売主本人には設備修復責任、瑕疵担保責任がなくなりメリットも多いですが、売却に比べるとその販売価格は相場に比べて見劣りすることが多々あります。
マンションや家を売るなら売却と買取、あなたの条件に合う方を選ぶべし
今までの内容を一口でまとめると、
新築、築浅、人気エリアの物件なら高く売れる「売却」、
早く現金化したい、築年数が古い、大型の物件、訳あり物件なら何でもすぐ買い取ってもらえる「買取」に向いているといえますね。
どちらが良いかではなく、どちらのほうが合っているかで不動産の売り方を考えていきましょう。
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記事監修者 かながわ行政書士事務所 代表 池田 晴香
行政書士
かながわ行政書士事務所ホームページ:https://kanagawa-gyosei.com/
WEB制作会社に営業として勤務後、学生時代から就職後も続けていた音楽関係の仕事をきっかけに
ラジオパーソナリティー、ナレーション、朗読などの声の仕事を始める。 30代、行政書士の仕事をスタート。
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