2021年の空き家の状況とは?空き家の現状や動向についてご紹介
日本国内における空き家の増加と、それに関連する諸問題は改善どころかより深刻化している印象です。
【目次】
国も色々と対策を講じていますが、空き家問題が広がるスピードの方が速く、早期の問題解決はあまり期待できません。現状での空き家状況がどうなっているか、総務省の統計から数値で見ることができるので、今回は空き家の数や割合、管理状況などを見ていきたいと思います。
総務省の統計からみる空き家の数と割合
総務省統計局では、5年ごとに国内の土地や家屋についての数値をまとめた統計調査を発表しています。
(※参照:総務省・「平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果」)
平成30年(2018年)には前回の調査よりも空き家の数は増加しており、848万9000戸となっており、過去最高となっています。
平成30年の統計を見ると、日本国内の空き家の数や、現在人が居住している住宅も含めた総住宅数に占める割合が確認できます。少し分かりにくいのが空き家の種別で、普段人が住んでいない空き家もいくつかに種類分けがされています。同じ空き家でも、賃貸用や売却用、別荘などの二次的住宅用、その他の空き家と種別が分かれており、国内で一般的に問題になっているのは最後の「その他の空き家」です。
(※参照:総務省・「平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果」)
まず、問題になりがちな「その他の空き家」の数としては約347万戸となっており、これは総住宅数に占める割合として5.6%という数字になります。ちなみに、同じ空き家でも別種別の空き家について現状をまとめると以下のようになります。
・賃貸用の空き家は431万戸、総住宅数に占める割合は6.9%
・売却用の空き家は29万戸、総住宅数に占める割合は0.5%
・二次的住宅の空き家は38万戸、総住宅に占める割合は0.6%
問題化しやすい管理の行き届かない空き家は割合的に高く、今後も増加傾向で推移していくことが予想されます。
空き家が増える理由
空き家が増え続けるのにはどのような背景があるのでしょうか。
①相続による不動産の取得
空き家となってしまう背景には相続による取得が挙げられます。相続人が自身で住宅を購入しているケースもあり、戸建てやマンションなどを相続しても利用せずに空き家としてしまっていることがあります。
(参照:国土交通省「空き家の等の現状について」)
また、過去の調査では約1/4以上の方が相続した空き家が車・電車などで1時間以上かかると回答しており、容易に行き来出来ない様子が伺えます。
(参照:国土交通省「空き家の等の現状について」)
②高齢化社会による影響
現在の日本は高齢化社会となっており、その影響により住宅が空き家となるケースがあります。高齢者の方が長期の入院や老人ホームなどの施設、住宅に入居している場合にはどうしても住宅が空き家となってしまいます。また親が高齢の場合、子供の近くに呼ぶケースも多く、現自宅がそのまま空き家となることもあります。
空き家の場合、郊外や地方になればなるほどニーズが減少することから売りたくても売れないといった状況も出てきてしまいます。空き家となる一方、地域への人口の流入は少ない為、道路や水道などの維持などライフラインやインフラを整備出来なくなってしまうことも心配されます。
③少子化に伴う需要と供給のバランス
日本では高齢化社会であると同時に少子化としても問題となっています。住宅に関してもそのあおりを受けており、住宅の供給数は多いものの需要の方が少ない為、供給過多となってしまい空き家が増える傾向にあります。
また、新しい物件が建築されればニーズはそちらに移りやすく、築年数が経過してきた建物のニーズが少なくなってしまうことがあります。
(参照:国土交通省「空き家の等の現状について」)
空き家率の高い県は?
空き家率が高い県と低い県を抜粋してみると以下のようになります。
空き家率が高い県トップ5
1位:山梨県(21.3%)
2位:和歌山県(20.3%)
3位:長野県(19.5%)
4位:徳島県(19.4%)
5位:高知県(18.9%)
空き家率が低い県トップ5
1位:埼玉県(10.2%)
2位:沖縄県(10.2%)
3位:東京都(10.6%)
4位:神奈川県(10.7%)
5位:愛知県(11.2%)
空き家率が高い県と低い県を考察すると、関東など人口が多いエリアは空き家率が低い傾向が見られます。沖縄については、もしかしたら親族が同じ家で過ごす風習が他県よりも強く、新しく建物を建てる数が少ないので、空き家も少ないのではないかということが考えられます。
空き家の管理状況はどうなっている?
次に、同統計調査の中で令和元年11月から令和2年1月にかけて行われた空き家の利用・管理状況について尋ねた調査を見てみます。空き家の状態が悪く、腐朽していたり破損が見られる空き家がどれくらいあるのか尋ねたところ、「その他の空き家」の64%に腐朽や破損が見られるとの回答が得られました。管理の頻度は月に1回~数回との答えが多いので、月に1回は管理をしたとしても建物の腐朽は進むということが推認されます。別荘として使うわけでもなく、利用目的が特にない空き家に多少の管理の手間をかけたとしても劣化を抑えることは難しく、かといって放置すれば腐朽のスピードは加速度的に速まります。
管理不全の空き家の問題点
管理がなされていない空き家の場合、さまざまな問題点が出てきてしまいます。ここではどのような点が問題が懸念されるか見ていきます。
①建物の劣化による問題
一戸建てなどの空き家の場合、建物が古くなったり劣化してしまうと大きな不具合が懸念されます。台風や最近は多い大雨などになってしまうと建物が倒壊したり、屋根や外壁が飛ばされたり落下することがあり大変危険です。
また、二次的被害が発生することも想定され、倒壊、落下してしまった際に付近にいる人や建物などに被害が出てしまうこともあります。管理責任は空き家の所有者にあるので建物の状況を把握しておく必要があります。
②防災面での問題
長期的に空き家となっている場合、犯罪などに利用されるケースがあります。また、不審者や害獣、害虫などが住みついたり、家に放火され火災が発生するなどの恐れがあります。
③ごみの不法投棄の問題
空き家では誰も住んでいないことをいいことにごみや粗大ごみを不法投棄される可能性もあります。また、そのごみによって火災が発生したり放火されたりということもあります。
生ごみなどを放置される場合、周囲への悪臭やごみなどが散乱したり、ごみによって害獣や害虫が寄ってきてしまい、近隣へのトラブルを招くことがあります。
④景観の悪化の問題
戸建てや土地などの場合、ただ放置していると庭木や雑草が生い茂り、周囲と比べて景観を著しく損ねてしまう可能性があります。また、庭木などが越境してしまい隣地の方と揉めるケースも出てきてしまいます。
空き家対策特別措置法
平成27年2月26日に空き家対策特別措置法が施行されています。空き家対策特別措置法は適切な管理出来ていない場合や景観や衛生面、防犯面などの問題を防ぐために制定された法律で、「空き家法」と言われることがあります。
空き家対策特別措置法では以下の内容の取り決めがされています。
・空き家の実態調査を行える
・空き家の所有者へ適切な管理の指導ができる
・適切に管理されていない空き家を「特定空家」に指定することができる
・特定空き家に対して、助言・指導・勧告・命令ができる
・特定空き家に対して罰金や行政代執行を行うことができる
もし特定空き家に指定された場合、固定資産税の特例を受けることが出来なくなり、固定資産税の課税額が高くなりますので要注意です。
特定空き家について詳細を知りたい方はこちら
2021年の空き家の動向は?
国土交通省が行った「令和元年空き家所有者実態調査」の結果が令和2年12月16日に発表されました。これによると今後5年程度の利用意向は、「空き家にしておく」が約3割、「賃貸・売却」や「セカンドハウスなどとして利用」がそれぞれ約2割程いることから今すぐに処分しようと考えている方が少ないことが伺えます。
(参照:国土交通省「令和元年空き家所有者実態調査」)
空き家を処分する方が少ないので2021年も空き家は増加傾向にあると推察出来ます。
今後の対策として所有者が相続後に登記申請を行っていない不明な土地などの整備も行われる予定となっている為、所有者の割り当てが行われ、不動産の所有者が判明すれば空き家などの問題も縮小出来ることが期待されています。
リスク管理として空き家の売却を検討
管理の手間をかけても傷みが進み財産的価値はどんどんなくなっていきますから、明確な利用目的の無い空き家は早めに売却するのが賢明です。年数が経ち傷みが進めば買い手が付きにくくなり、値段もどんどん下がっていきます。古い物件は買い手が付くだけでもラッキーというケースも多くあり、買い手が付かなければ税金やメンテナンスの費用をずっと払っていかなければなりません。
古い物件は売れるうちに売るというのが鉄則ですので、築古物件の扱いが上手い不動産業者に早めに相談しましょう。
記事監修者 かながわ行政書士事務所 代表 池田 晴香
行政書士
かながわ行政書士事務所ホームページ:https://kanagawa-gyosei.com/
WEB制作会社に営業として勤務後、学生時代から就職後も続けていた音楽関係の仕事をきっかけに
ラジオパーソナリティー、ナレーション、朗読などの声の仕事を始める。 30代、行政書士の仕事をスタート。
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