賃貸経営で持続化給付金は使えない?コロナ禍における賃貸経営のリスク
政府がコロナ対策で打ち出している各種支援策の中には、不動産経営をされている事業者の方も利用できる施策があります。
【目次】
ただ個別の支援策の内容をよく見ていくと、各々の状況によって使えるものと使えないものがあるので、余裕がない中でもしっかりと中身を確認しなければなりません。この回では多くの事業者の方が対象になる持続化給付金について、不動産経営者の助けになるかどうか見ていきます。
持続化給付金とは
持続化給付金とはコロナウイルス感染症の拡大により特に大きな影響を受ける事業者に対して事業の継続や事業再起をする為の給付金です。
給付の対象は中小法人や個人事業主等となり、新型コロナウイルスの影響でひと月の売上げが前年の同じ月に比べて50%以上減少している事業者などが対象となっています。また、この他にも一定の要件に該当する必要があります。
残念ながら持続化給付金は終了です
持続化給付金制度はコロナの影響で売り上げが減少した事業者の収入減を手当てするメイン施策でしたが、残念ながら申請受付がすでに終了しています。
本制度に関しては、怪しいコンサルタントなどが元締めになり、本来は事業を行っていない学生や主婦などの不正受給が相次いだことから、現在は不正受給をした人からの支援金の回収などの業務が行われています。今のところ、本支援施策が再開されるという情報は入っておりません。
そもそも持続化給付金は個人では利用できません
仮に申請期限内であったとしても、持続化給付金は個人の不動産経営者は利用することができませんでした。この支援策の対象になるのは事業所得の減少であり、法人による不動産経営が対象となるものです。
個人で不動産経営をされている方は事業所得ではなく不動産所得となるため、適用対象から外れることになり、どちらにしろ利用することができなかったのです。その為、法人として不動産経営されていた場合は売上となるので持続化給付金の対象となっていました。
居住用不動産なら個人経営でも利用できる施策がある
個人で不動産経営をされている場合、「住宅確保給付金」の支援策が利用できます。ただしこの施策は居住用不動産の経営にのみ有効で、ビジネス用のテナントや店舗などの不動産賃貸経営は対象外です。
ビジネス用の不動産経営方面には別途「家賃支援給付金」制度がありましたが、こちらの施策はすでに終了しています。住宅確保給付金制度は、コロナの影響で家賃の支払いが難しくなった賃借人を支援するという建前上、アパートなどの借り手側が自治体に申請することになります。
そのため大家さんとしては家賃の支払いが難しくなっている賃借人に利用を促すという間接的な立場になると思われますが、申請する世帯の収入状況や預貯金額などの要件を満たす必要があることから、あまり踏み込んだ介入はためらわれるかもしれません。
安定した収入に不安があるなら売却も検討しましょう
今後の長期スパンを見据えて安定した収入が望めない、あるいは家賃の滞納リスクが高まると予想する場合、賃貸経営を見直して早めに不動産を手放す方が得策かもしれません。
状況が悪化すると社会全体で不動産経営のうま味が減り、売りに出しても買い手が付きにくくなります。買い手が付きにくい場合は不動産業者による直接買取も検討できますが、需要が落ちればやはりその分買取金額は下がってしまいます。
現状、コロナの状況は好転するそぶりを見せていませんから、リスク管理の一手として売却も視野に入れて考えてみましょう。
記事監修者 かながわ行政書士事務所 代表 池田 晴香
行政書士
かながわ行政書士事務所ホームページ:https://kanagawa-gyosei.com/
WEB制作会社に営業として勤務後、学生時代から就職後も続けていた音楽関係の仕事をきっかけに
ラジオパーソナリティー、ナレーション、朗読などの声の仕事を始める。 30代、行政書士の仕事をスタート。
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