【2022年9月1日施行】不動産の表示規約の主な改正点とは?交通・利便について
従来の不動産に関する表示は基本的なベースはあるものの、各不動産会社に任されていましたが、今回、公正取引委員会・消費者庁の認定・承認を受けて「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」及び「表示規約施行規則」の改正が2022年9月1日に施行されました。
今回は主な改正点と不動産の売却時における注意事項を見ていきます。
規定が強化された点
まず初めに今回の改正点の主な内容についてご紹介をしていきます。
交通の利便性・各施設までの距離又は所要時間について
最寄り駅までの表示について
販売をする戸建や土地が2つ以上の場合は、最も駅から近い物件の徒歩の所要時間を表示すれば良いことになっていました。改正された内容ではこの内容に加えて「最も駅から離れている物件の所要時間も表示」することになっています。
表示例)
複数の分譲がある場合には最も近い不動産と最も遠い不動産の駅までの所要時間が必要となります。
電車の所要時間の表示について
今までの規定では通勤時の所要時間が平常時の所要時間を著しく超えるときは通勤時の所要時間を明示するように規定されていましたが、改正後は「朝の通勤ラッシュ時の所要時間を明示し、平常時の所要時間をその旨を明示して平気できる」と変更されました。
表示例)
「A駅からB駅まで通勤特急で35分」
※ 平常時は特急で25分
電車で乗り換えが発生する際の表示について
従来は乗り換えの必要があればその旨を表示することになっていましたが、「乗換えを要するときは、その旨を明示し、所要時間に乗換えに要する時間を含めること。」という内容に変更されました。
表示例)
「最寄りのA駅からC駅まで30分~33分」
※B駅で●●線に乗換え
※上記所要時間には乗換え・待ち時間が含まれています。
建物の出入り口の明文化
従来では物件の起点については明文化されていませんでしたが、マンションやアパートについては、建物の入り口を起点とすることが明文化されました。
交通の利便の表示について
従来では最寄駅から物件までの徒歩時間を明示するようになっていましたが、改正後は物件から最寄駅等までの徒歩時間を明示するようになりました。
表示例)
従来表示が出来ていた内容:A駅から徒歩10分
改正後:A駅まで徒歩10分
物件からB駅まで徒歩15分
A駅徒歩10分
表示が変更された売却への注意点
表示の変更に伴い、当時大規模な分譲などで戸建を購入された方は注意が必要です。不動産会社の表示にもよりますが全体的に徒歩10分の表示となっていた場合、一番遠い住戸の場合には15分などとなってしまうことがあり、売却をしようとする際にはこの表示としなくてはならなくなります。
当然条件が良い方が売却がしやすくなる為、徒歩表示などを短くしたいと考えてしまいますが、不当に優位性を保つ為の広告は誇大広告にあたりペナルティーの対象となります。実際に広告を出すのは不動産会社となりますが、売主として正しい内容での取引をすることは重要ですのでご自身でも確認されることをおすすめいたします。
(参考:不動産公正取引協議会連合会 表示規約同施行規則主な改正点)